国際教養大学のギャップイヤー入試って何ですか?
「国際教養系 大学・学部 受験専門塾」GTE®PREP では、国際教養大学を目指す高校生を応援しています。
この記事では、国際教養大学(AIU: Akita International University)のギャップイヤー入試について、傾向と対策を徹底解説していきます。
⇒ 国際教養大学の入試の全体概要については、こちらの記事をご参照ください。
※ この記事の情報は、すべて令和6年度入試(2024年入試)に基づいています。
※ 本記事は筆者が独自に執筆しまとめたものです。正確な情報を得たい場合は必ず大学の公式情報をご確認ください。
(※ 目次をクリックすれば、どこからでも読めます)
国際教養大学のギャップイヤー入試とは
国際教養大学のギャップイヤー入試とは、高校卒業後の4~8月に自分で決めたさまざまな活動を行った上で、9月に入学する入試制度です。
試験自体は 11 月に行いますが、実際に大学に入学するのは翌年の9月1日となります。
試験では、他の入試方式で課される「英語小論文」だけでなく、「ギャップイヤー活動計画についてのプレゼンと質疑応答」も課されます。合格者は、4~8月の間は入学予定者として扱われ、この間のギャップイヤー活動が義務づけられます。
※ ギャップイヤーが一般的な欧米では、1年に満たなくてもギャップイヤーと言うことが多いです。
■ ギャップイヤー入試の流れ
時期 | やること |
---|---|
11月 | 本試験 |
12月 | 合格発表・入学手続き |
2月 | 「ギャップイヤー活動計画発表会」に参加 |
4月~8月 | ギャップイヤー計画書に基づき、ギャップイヤー活動を実施 |
8月下旬 | 入寮日 |
9月1日 | 入学式 |
9月上旬~ | 「ギャップイヤー活動報告書」を大学に提出するとともに、「活動報告会」で活動報告を行う(それぞれの具体的な時期については、大学と相談しながら決定) |
ギャップイヤー活動の実施にあたっては、国際教養大学の教職員が助言・指導にあたり、活動期間中は大学との定期的な連絡、経過報告等が必要です。
国際教養大学のギャップイヤー入試 -日程、定員と倍率、出願要件-
スケジュール日程
項目 | ギャップイヤー入試 |
---|---|
出願・検定料支払期限 | 2023/11/7 |
出願後の書類提出期限 | 2023/11/8 |
試験日 | 2023/11/25 – 26 (秋田県の国際教養大学キャンパスにて実施) |
合格発表日 | 2023/12/6 |
入学手続き・納付期限 | 2023/12/14 |
実際の入学月 | 2024/9/1 に入学 |
定員と倍率
項目 | ギャップイヤー入試 |
---|---|
定員 | 5 名 |
出願者数 | 16 名 |
倍率 | 3.2 |
受験者数 | 16 名 |
合格者数 | 7 名 |
入学者数 | 7 名 |
出願要件
項目 | ギャップイヤー入試 |
---|---|
形式 | 公募制 -IB(国際バカロレア)、海外の高校、インターナショナルスクール可(詳細は募集要項を要確認)- |
高校の推薦 | 不要 |
浪人生 | 可 |
評定平均の要件 | 要件なし |
合格時の入学確約 | 要(専願) |
他入試形式との併願可否 | 可(学校推薦型入試との併願は不可) |
英語資格の要件 | 要件なし |
地域枠の要件 | なし |
その他の出願要件 | 合格者は、4月から8月までの間に本人が計画したギャップイヤー活動を行い、その報告を行うこと |
国際教養大学のギャップイヤー入試 -書類審査の傾向と対策-
ギャップイヤー入試の評価対象
ギャップイヤー入試では、下記を総合的に評価・判定します。
- 調査書(高校の成績)
- 自己アピール書(志望理由書)の内容
- ギャップイヤー活動計画書の内容
- 面接(日本語および英語)の内容
- 英語小論文の内容
意外なことに、ギャップイヤー入試では評価対象に英語資格が含まれていません。ただ、自己アピール書(志望理由書)に英語の資格や英語を使った課外活動、留学経験などを書けばプラス評価になる可能性は高いので、ぜひ盛り込みましょう。
4.面接(日本語および英語)と、5.英語小論文試験は、秋田県の国際教養大学キャンパスにて実施されます。
合否のカギを握るのは、2.自己アピール書(志望理由書)、3.ギャップイヤー活動計画書、4.面接(日本語および英語)、5.英語小論文試験の3つです。これらの傾向と対策を以下で詳しく解説します。
自己アピール書(志望理由書) の書き方
ギャップイヤー入試の自己アピール書(志望理由書)は、学校推薦型選抜、グローバル・セミナー入試、グローバル・ワークショップ入試、総合型選抜(AO)入試で共通です。
別の記事で国際教養大学の自己アピール書(志望理由書)の書き方をまとめましたので、こちらを参考にしてください。
ギャップイヤー活動計画書の書き方と例
ギャップイヤー活動計画書の書式
ギャップイヤー活動計画書は、日本語 1,000~1,500 字程度で、高校卒業から国際教養大学入学までの4~8月に何をするのかを記載します。
かなり文章量が多いので、他の人が読んでも分かりやすく記述しましょう。自己アピール書(志望理由書)の書き方のページの「5.トピック・センテンス ⇒ 展開文 ⇒ 結論文という流れで文章を書く」を参考にしてみてください。
ギャップイヤー活動の例
ギャップイヤー活動は、企業インターン、ボランティア活動、部活指導、研究活動、フィールドワーク(研究対象の現地を訪れて調査や対策などをすること)などがあります。2014 年の古い例ですが、実際にギャップイヤー活動として合格した例を見てみましょう。
・日本の社会的弱者を救済するヒントを得るため、貧困層への炊き出しを行う NPO 法人で活動
引用元:文部科学省「国際教養大学のギャップイヤー入試への取組み」
・日本で必要のなくなった古着をパキスタンへ輸出する団体でボランティア
・韓国と秋田の交流を目指す、観光のボランティア団体でボランティア
・温泉旅館でのインターン。日本のおもてなしの研究
・沖縄の離島の民宿でのインターン。宿泊した若者の意識調査から日本の教育を考える
・防災活動への意識を高めるために必要なことを研究
・自転車で日本を一周し、社会問題となっている場所を自分の目で確かめる活動
・アジア諸国を旅し、米が使われているメニューの研究
この例を見て分かる通り、必ずしも海外での活動や国際的な活動でなくても構いません(とはいえ、引用元によると、合格した6~7割の活動が海外での活動を含んでいるようです)。
あくまで私たち GTE の見解ですが、ギャップイヤー活動で大事なのは、下記3点です!
■ ギャップイヤー活動で大事な点
- なぜ、他の入試制度ではなくギャップイヤー入試でないといけないのか?
- そのギャップイヤー活動と国際教養大学とがどう結びつくのか?
- そのギャップイヤー活動によって、自分はどう成長し、どう国際教養大学に貢献できるのか?
一つ一つ見ていきます。
ギャップイヤー活動計画書でアピールすべきこと3点
1.なぜ、他の入試制度ではなくギャップイヤー入試でないといけないのか?
国際教養大学には、総合型(AO)、学校推薦、一般選抜 A, B, C 日程など 10 以上の入試方式があります。その中で、なぜギャップイヤー入試でないといけないのかを明確にしましょう。
高校卒業後、「時間を自由に使える立場でないとできないこと」を考えてみてください。高校生活でもできることであれば、わざわざギャップイヤー活動を行う必要はないかもしれません。
例えば、同じボランティア活動であっても、誰かの指示に従って行うだけのボランティアよりも、自分が主体的な役割となって企画、運営、実施するボランティア活動の方が、ギャップイヤー活動としての価値は高そうです。
そもそもですが、「合格のチャンスを増やしたいからギャップイヤー入試もついでに受ける」「国際教養大学への合格を目的としてギャップイヤー活動をする」というのは、あまりオススメできません。
大学側に見透かされますし、中途半端に入試回数を増やすより総合型(AO)や一般選抜に注力した方がいいかもしれませんよ。
2.そのギャップイヤー活動と国際教養大学とがどう結びつくのか?
ギャップイヤー活動自体が素晴らしくても、それがどう国際教養大学の方針(ポリシー)に結びつくのかが不明確だと、説得力が薄れます。
国際教養大学のメッセージは「Be a Global Leader!」です。ギャップイヤー活動自体は日本のことであっても、将来、日本を含めたグローバルでの社会課題解決に向けて、ギャップイヤー活動をどう活かせるのかを明確にするとよいでしょう。
3.そのギャップイヤー活動によって、自分はどう成長し、どう国際教養大学に貢献できるのか?
国際教養大学は、ギャップイヤー活動という特異な経験をした生徒がロールモデルとなり、他の国際教養大学生への刺激になることを期待しています。
ギャップイヤー活動によって自分はどう成長するのか、それによって国際教養大学の多様性にどう貢献できるのかを、ギャップイヤー活動計画書で明確にしてみてください。
国際教養大学のギャップイヤー入試の面接 -傾向と対策-
国際教養大学のギャップイヤー入試では、まず日本語でギャップイヤー計画をプレゼンしたあとに、日本語と英語での面接試験を課されます。
別の記事で国際教養大学の面接対策をまとめましたので、こちらを参考にしてください。
国際教養大学のギャップイヤー入試の英語小論文 -傾向と対策-
国際教養大学のギャップイヤー入試では、英語小論文試験(Essay writing)があります。
ギャップイヤー入試の過去問の入手手段がないため、ほぼ同じ形式である「学校推薦型」と「一般選抜 C 日程」の過去問を使うとよいでしょう。
⇒ 「学校推薦型選抜」の英語小論文の過去問はこちら
⇒ 「一般選抜 C 日程」の英語小論文の過去問はこちら
エッセイの書き方についてはいろいろありますが、オススメの Essay writing のやり方を別記事で紹介しています。参考にしてみてください。
また、最近の国際教養大学の英語小論文では、2つの立場のどちらかを明確にした上でエッセイを書くという形式が多いです。
ディベートと少し似た形式なので、時間に余裕があればディベートを経験しておくと、論理の筋道の組み立て方や背景知識を知れますので、エッセイ対策にもなりますよ。英語ディベートでも日本語ディベートでも、また、即興型(パーラメンタリー)でも調査型(アカデミック)でも、どんな形であれ役に立つはずです。
さいごに -ギャップイヤー活動の注意点-
さいごに注意点として、ギャップイヤー活動に必要な資金をどう調達するのかという課題があります。
ギャップイヤー活動中にアルバイトをして貯めるのは OK ですが、アルバイトで4~8月しかない期間の一部を食いつぶすのは非常にもったいないです。アルバイトは高校卒業までに終わらせる、お金をかけずにできる活動を工夫する、など、資金に関することは必ず考えておいてください。
ギャップイヤー活動の資金はどうするのかは、面接でも聞かれます。
あらかじめギャップイヤー活動計画書にも書いておくようにしましょう。
また、これは私たち社会人からの余計なお世話かもしれませんが・・・ 9月1日の入学式時点には、国際教養大学での勉学に 100% 集中できるようにすることも非常に大事です。
企業インターンやボランティア運営などでよくあることですが、ズルズルと関係が続いて、大学での勉学もボランティア活動も中途半端になってしまった、となると、大学と団体どちらにも迷惑をかけてしまいかねません。
4~8月のギャップイヤー中にお世話になる団体があれば、9月1日からは勉学に集中することをあらかじめ合意を得ておくことが必須だと思います。
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