国際教養大学の自己アピール書(志望理由書)って何を書けばいいんですか?
教えてください!
この記事では、国際教養大学(AIU: Akita International University)の学校推薦型入試や総合型選抜(AO)の出願に必要な自己アピール書(志望理由書)について、アイデアの出し方や書き方を徹底解説していきます。
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英語で書く志望理由書や、アメリカなど海外大学受験の Essay でも OK です。
※ この記事の情報は、すべて令和6年度入試(2024年入試)に基づいています。
※ 編入転入学試験、外国人入試、社会人入試については割愛しております。
※ 本記事は筆者が独自に執筆しまとめたものです。正確な情報を得たい場合は必ず大学の公式情報をご確認ください。
(※ 目次をクリックすれば、どこからでも読めます)
国際教養大学で自己アピール書(志望理由書)が必要な入試形式
国際教養大学で自己アピール書(志望理由書)が求められる入試形式は、下記の通りです。
※ 各入試をタップすると、攻略情報を参照できます。
- 学校推薦型入試
- 総合型選抜(AO)入試(4月入学の I と9月入学の II の両方で必要)
- グローバル・セミナー入試
- グローバル・ワークショップ入試
- ギャップイヤー入試
⇒ 国際教養大学の入試の全体概要については、こちらの記事をご参照ください。
注意したいのは、グローバル・ワークショップ入試の自己アピール書の提出時期です。グローバル・ワークショップ入試の出願時期は9月ですが、グローバル・ワークショップの参加申し込み期限である5月に自己アピール書を提出しなければなりません(2023 年度は、申し込み期限が 5 / 19、必要書類郵送期限が 5 / 23 でした)。
グローバル・ワークショップに参加すること自体、倍率が高く落選することが多いので、最低でも3月頃から自己アピール書に取り掛かることをオススメします!
国際教養大学の自己アピール書(志望理由書)のフォーマットとポイント
国際教養大学の自己アピール書のフォーマット(雛形)は下記の通りです。
志望理由書の項目 | 詳細 | 文量 |
---|---|---|
将来の計画 | 将来就きたい職業、会 社、分野などについて、 その理由、背景、手順等 を具体的に記載すること | 10 行分 |
大学進学後に学びたい内容 | 5 行分 | |
資格・表彰歴等 | 6 つ分 | |
高校時代にもっとも 力を入れたこと | 動機、活動内容、成果を 具体的に記載すること | 13 行分 |
課外活動 | 学内外の部活動、ボラン ティア、インターンシッ プなどの活動について、 内容、役割、頻度、期 間、成果、自分が学んだ ことについて具体的に記 載すること | 13 行分 |
関心を持っている事項・問題 | 取り上げた理由、背景、 原因、解決策などを記載 すること | 11 行分 |
その他の自己アピール | 自由記載 | 10 行分 |
ちなみに、国際教養大学が「自己アピール書」という文書名にしたのは最近のことのようです。過去は他の一般的な大学と同じく「志望理由書」という名前でした。
変わったのは名前だけではありません。よくある「本学を志願する理由」のような項目が無いのです。私見ですが、無理に大学に合わせて書こうう、おもねって書こうとするのではなく、「受験生本人の将来ビジョンや個性に焦点を当てて書いてほしい」という大学からのメッセージではないかと感じます。
自己アピール書で大事なことは下記3点です。それぞれ、具体的に解説していきます。
■ 自己アピール書で大事なこと
・将来ビジョンから逆算し、一貫性を持った自己アピールを書く
・国際教養大学が学生に期待する「Be a Global Leader!」に結びつけて書く
・トピック・センテンス ⇒ 展開文 ⇒ 結論文という流れで文章を書く
将来ビジョンから逆算し、一貫性を持った自己アピールを書く
自己アピール書の項目順を見ればすぐに気づきますが、未来から過去へという流れで項目が構成されています。つまり、「将来の計画」は大学卒業後という遠い未来 ⇒ 「大学進学後に学びたいこと」は大学時という近い未来 ⇒ 「資格・表彰歴等」以降は高校までの現在や過去 という時系列で項目が構成されています。
そのため、まずは将来ビジョンを明確にすることがとても大事です。
「自分は、将来何をしたいのだろうか?」これを考えるのは非常に大変な作業です。まだぼんやりしていてもいいので、将来変わってもいいので、自分の思いや性格、これまで活動してきたことなどを通して、将来ビジョンを形にしてみてください。
将来ビジョンがなんとなく形になったら、それ以外の項目に書くべき内容を考えます。なんでもかんでも書けばよいのではなく、将来の計画から逆算し、一貫性を意識して取捨選択することが大事です。
これまで高校生の志望理由書を見てきた経験から言うと、あれもこれも詰め込みすぎて、結局どの方向を目指しているのか伝わらない志望理由書が多いです。何を書くか考える前に、「一貫性を意識して何を書かないか」を先に決めるようにした方が、スムーズに書けますよ!
なお、いきなり文章で将来計画を書こうとしない方がよいです。いきなり文章にしようとすると、思考がまとまらず、何も書けなくなったり、表面的にカッコイイけど中身がなくなったりしがちです。
最初は走り書きのメモ程度で構いません。将来何をやりたいのか、何に興味があるのか、なぜ今までその部活や課外活動などをやってきたのか、など、自分の中から思いを言葉で整理してみてください。他の人に伝えるための文章にするのは、自分の思いをメモで整理した後です。
国際教養大学が学生に期待する「Be a Global Leader!」に結びつけて書く
国際教養大学のミッションステートメントと3つのポリシー
国際教養大学のメッセージは「Be a Global Leader!」です。まずは、国際教養大学が学生に何を期待しているのか、ミッションステートメントと3つのポリシーを見ていきましょう。
■— ミッションステートメント —■
引用元:国際教養大学「ミッションステートメント/3つのポリシー(https://web.aiu.ac.jp/undergraduate/policies/)」
国際教養大学は、「国際教養教育」を教学理念に掲げ、グローバル社会におけるリーダーを育成することを使命とする。
国際教養教育は、世界の広範な事象に関する幅広い知識と深い理解、物事の本質を見抜く洞察力や思考力、これらの上に築かれたグローバルな視野とともに、英語をはじめとする外国語の卓越したコミュニケーション能力を涵養する。
国際教養教育を受けた者は、確固たる「個」を確立し、道義心の修養を通じて開かれた高潔な精神と情熱を持って時代の諸課題に立ち向かい、自らが暮らす地域や所属する国家のみならず広く人類社会に貢献する。
■— 3つのポリシー —■
ディプロマ・ポリシー(卒業の認定に関する方針)
国際教養大学は、「国際教養教育」を教育理念に掲げ、個を確立し、高潔な精神と情熱を持って諸課題に立ち向かい、地域社会と世界に貢献できるグローバル社会のリーダーたり得る人材を育成することを使命としています。(~略~)
カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成及び実施に関する方針)
国際教養大学では、ディプロマ・ポリシーを踏まえた教育目標を達成するため、学修の探求方法として、批判的思考、量的論証、経験的方法、社会科学的視点、人文学的・芸術的視点を盛り込みます。なお、本学の授業は、少人数クラス編成を基本とし、全ての授業を英語で行います。教育課程の編成は次のとおりです。(~略~)
アドミッション・ポリシー(入学者の受入れに関する方針)
国際教養大学の教育目標を理解し、グローバル社会のリーダーとなるための教育課程に意欲をもって挑戦できる基礎学力を有し、同僚学生と切磋琢磨するとともに協働により互いを高めあうことに喜びを感じることのできる次のような学生を受け入れます。その際、受け入れる学生の多様性を重視した選抜方法を設定します。
主体的に学ぶ意欲が強く、鋭い問題意識を持つ学生であって、
・社会科学、人文科学、自然科学の広い分野について均衡のとれた基礎学力、論理的、批判的、創造的な思考力を身に付けた学生あるいは特定分野について卓越した経験や能力を有しながらより広い分野について学修を深めようとする意欲を持つ学生
・海外での学修経験や諸活動への参加経験、国内での国際交流事業などに積極的参加を経験するなど世界の多様な文化、言語、歴史、社会などの国際関係について強い関心と探求心を持つ学生
・国際社会を舞台に活躍できるような実践的な外国語運用能力(特に英語)と、幅広い教養の修得を志す学生
を求めます。
また、学生には、高等学校での学修を通じて、国際社会への知識と関心を深めるとともに、日本の社会・歴史・文化、世界の歴史についての基礎的知識を修得していることが期待されます。
さらに、学生は大学での学修において、
・英語で教養教育を修めるに足る十分な英語運用力を獲得する意欲を持ち、
・バランスのとれた教養教育科目を履修要件とする本学のカリキュラムを理解しこれに積極的に挑戦し、
・留学などで直面する困難な問題にも自立的学修者として取組める強い意志と、多様な背景を持つクラスメートあるいは留学先の人々と協働できる能力を高める意欲を有する
ことが必要です。
※ ただし、アンダーラインは筆者
国際教養大学に自己アピールすると良いこと
以上のミッションステートメントと3つのポリシーから、国際教養大学がどのような学生を期待しているかがイメージできます(我々 GTE は国際教養大学の中の人ではないので、もちろん推測ではありますが)。まとめてみましょう。
・将来はグローバルリーダーとして、世界や日本の社会問題を解決してほしい
・広い分野を学んでほしい
・日本を含む国際的な問題について興味関心と基礎知識を持っていてほしい
・英語を学び、使う意欲を持っていてほしい
・留学などで苦しい状況に直面しても、あきらめずに取り組んでほしい
・自分とはちがう考えや文化を持った人とコミュニケーションを取ってほしい
国際教養大学が期待する学生像から逆算すると、何を自己アピールすべきかも浮かび上がってきます。まとめてみましょう。
国際教養大学が期待する学生像 と考えられること | アピールすべきことの一例 |
---|---|
・将来はグローバルリーダーとして、世界や日本の社会問題を解決してほしい | ⇒ ある分野の社会問題について問題意識があり、将来国際的な立場・視点・手段などを持って解決したいことをアピールする |
・広い分野を学んでほしい | ⇒ その社会問題の解決に必要な分野を学際的に学びたいとアピールする |
・日本を含む国際的な問題について興味関心と基礎知識を持っていてほしい | ⇒ 国際的な問題について取り組んできた実績や日々やっていることなどをアピールする |
・英語を学び、使う意欲を持っていてほしい | ⇒ 英語の能力や英語を使った実績などをアピールする |
・留学などで苦しい状況に直面しても、あきらめずに取り組んでほしい | ⇒ これまでの留学経験や国際交流経験などから、大変だったことや、乗り越えてきたことなどをアピールする |
・自分とはちがう考えや文化を持った人とコミュニケーションを取ってほしい | ⇒ これまでの留学経験や国際交流経験などから、大変だったことや、乗り越えてきたことなどをアピールする |
アピールすべきことが随分スッキリしてきませんか?
これらを、皆さんの将来ビジョンを基にして一貫性を持ってあてはめてみてください。皆さん自身のストーリーが段々見えてくるかもしれません。
アピールすべきことが分からず悩んでいる方に
…でも、私には将来やりたい具体的なビジョンとか、過去のすごい実績とかは無いんです。
すごいビジョンや実績がないと、国際教養大学には合格できませんよね?
そんなときは、挫折したことや上手くいかなかったこと、つらい教訓になったことなどから自己アピールを考えてみてください!
実は、不合格になった志望理由の典型例が、色々な実績をあれもこれも一貫性なく書いてあるばかりで「あなたという人がどんな人か良く分からない志望理由書」なんです。国際教養大学に限った話ではなく、他の大学の志望理由書や、海外大学の Personal Statement の Essay でも同じですね。
すごい実績や成功体験よりもむしろ、挫折経験や上手くいかなかったことから自己アピールを考える方が、皆さん自身の思いや興味を見つけやすいかもしれません。
それに、挫折やつらさを経験して、でもそこから何かを得ようとする人って、「将来大変なことがあっても逃げずに立ち向かってくれそうだな。そんな人ならリーダーになれる素質がありそうだな」と、アドミッションズ・オフィスの人から見て魅力的に映るんですよ!
すごい実績がなくてもいいし、将来ビジョンに確信がなくても入学後に変わってもいいので、「Be a Global Leader!」の意志は固く持つ。それが、国際教養大学の自己アピール書を書くときに必要なマインドだと私たち GTE は考えています。
もちろん、我々 GTE はアドミッションズ・オフィスではないので推測の域は出ていません。しかし、過去の GTE プログラムに参加し、現在は国際教養大学の学生たちと話していると、大きくちがってはいないと考えています。ぜひ、参考にしてみてください!
トピック・センテンス ⇒ 展開文 ⇒ 結論文という流れで文章を書く
自己アピール書の各項目に書く文章の流れ
国際教養大学の自己アピール書は、すべて自由記述ではなく、「将来の計画」や「高校時代にもっとも力を入れたこと」などの項目ごとに書く欄が分かれています。なので、1項目1パラグラフとみなして書いていくと、読む人に分かりやすい文章になります。
具体的には、下記の流れで各項目の文章を書いてみてください。それぞれを詳しく述べます。
Topic sentence(トピックセンテンス)
文章の最初に書くのは Topic sentence(トピックセンテンス)です。トピックセンテンスとは、そのパラグラフの中で言いたいことをおおまかに述べる文です。
自己アピール書(志望理由書)においては、各項目で問われていることの答えとなる主張を書くとよいです。「将来の計画」の項目であれば、トピックセンテンスは例えば、「私は将来、”貧困による大学進学の断念” という問題を解決できる人になりたいです。」などと一文で書きます。
Supporting sentence(s)(展開文)
トピックセンテンスの次に書くのは Supporting sentence(s) (展開文)です。展開文とは、トピックセンテンスで書いた主張の根拠・理由、詳細、具体例などを述べる文です。
ちなみに、展開文は1つのこともありますが通常は複数の文から成り立つので、英語では Supporting sentence(s) と表現することがあります。
展開文の各文は、文の順番や論理的なつながりを意識して書きます。「また、」「しかし、」「従って、」などのつなぎ言葉(Transition words)を使うと、話の順序関係や、前後の文の関係性について読む人に伝えやすくなります。
このようなつなぎ言葉を Transition signals(転換シグナル)とか、Disourse markers(談話標識)とか、Cue words(手掛かり語)などと言うこともあり、文章を交通整理する道路標識のような役割を持っています。
Concluding sentence(結論文)
文章の最後に書くのは Concluding sentence(結論文)です。結論文とは、パラグラフの終わりを示すと共に、トピックセンテンスの主張を言い換えて再提示する文です。
結論文については、1つ注意点があります。
ふつうのアカデミック・レポートや Essay writing では、トピックセンテンスや展開文で言っていなかったことを結論文で新たに出してはいけません。しかし、自己アピール書を書く場合には、大学の志望理由につなげる形で結論文を書くのがオススメです。そうすれば、自己アピール書を読むアドミッションズ・オフィスに、「だからこの生徒は国際教養大学を志望するんだな!」と伝えやすくなります。
カンの良い方は気づいたと思いますが、トピック・センテンス ⇒ 展開文 ⇒ 結論文という文章の流れは、日本語の小論文でも英語の Essay writing でも共通です。国際教養大学の二次試験の国語対策にも英語対策にも使えますので、ぜひマスターしてみてください!
自己アピール書の文章例
トピック・センテンス ⇒ 展開文 ⇒ 結論文という構成で、自己アピール書を書くときのサンプルを下記に示します。皆さんが自己アピール書を書くときの参考にしてみてください(文章は架空のものです)。
■ 国際教養大学の自己アピール書の「将来の計画」サンプル
私は将来、「貧困による大学進学の断念」という問題を解決できる人になりたいです。なぜなら、短期留学時代のホームステイ先の子が、家庭の事情で大学進学を断念し高校卒業後に就職すると決断したのを知り、「貧困が原因で大学進学をあきらめる高校生を減らしたい」と考えたからです。この夢を実現するために、お金についての知識、特に低所得国向けのファイナンス・ローンの理解を深めた上で、大学卒業後には海外支店もある金融会社への就職を目指します。以上から、国際教養大学で金融や国際法について学び、将来は低所得国の教育ローンに関わることで「貧困による大学進学の断念」という問題解決に貢献したいと考えています。
さいごに
自己アピール書の書き方、何となく分かりました。
まずは将来ビジョンから考えてみます!
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英語で書く志望理由書や、アメリカなど海外大学受験の Essay でも OK です。