高校生向けビジネスコンテスト【プレゼンのコツ24個と資料の作り方7枚】

ビジネスコンテスト~プレゼンのコツ24個と資料の作り方7枚!~ コンテスト
起業に興味ある高校生
起業に興味ある高校生

書類審査は通りました!
プレゼン審査のコツって何かありますか?

ビジネスプランコンテストでは、「一次審査は書類審査 ⇒ 決勝はプレゼン審査」という流れが多いです。

この記事では、実際にビジネスコンテストを主催している立場から、プレゼン審査で高評価を得られるプレゼンテーションの流れとコツを解説します。

※ 高校生向けに解説していますが、大学生、社会人のビジネスプランでもそのまま使えます。


 ※ 書類審査で作るビジネスプランの書き方のポイントについては、こちらの記事をご参照ください。

 ※ 高校生向けビジネスコンテスト一覧については、こちらの記事をご参照ください。

■ この記事で分かること

・プレゼン資料の流れ、各ページに書くこと、陥りやすい罠と対策が分かります

・プレゼンの準備段階でやることや練習方法が分かります

・本番当日で評価されるプレゼンテーションのコツが分かります

 ※ この記事は高校生・中学生が対象読者ですが、元々はスタートアップ起業をしている人向けの内容なので、どのようなビジネスコンテストでも応用できます。

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■ この記事を書いた人 柏 陽平
・高校生・中学生向け起業家教育プログラム「GTE®」メンター、共同運営者
・早稲田大学大学院商学研究科修了後、日産自動車入社。全員インド人のチームで IT プロジェクトのリーダーを経験するなどした後、退社。(株)ダイバーシティ・コンサルティング代表
・コンサルティング会社や IT 企業向けにロジカルシンキングなどの研修を100社以上に実施。他、統計学や経営工学を使った論文や白書のコンサルティング、英日翻訳など
・小学校・中学校で不登校。5歳の子を育てる兼業主夫

(※ 目次をクリックすれば、どこからでも読めます)

  1. プレゼンテーションの流れと資料の作り方
      1. プレゼン資料の構成7枚
      2. 実際のプレゼンの例
      3. プレゼンの持ち時間と時間配分
    1. 1枚目 タイトル
      1. I. プレゼン資料に書くこと
      2. II. お勧めの時間配分
      3. III. 陥りやすい罠と対策
    2. 2.解決したい問題
      1. I. プレゼン資料に書くこと
      2. II. お勧めの時間配分
      3. III. 陥りやすい罠と対策
    3. 3枚目 解決策(製品またはサービス)
      1. I. プレゼン資料に書くこと
      2. II. お勧めの時間配分
      3. III. 陥りやすい罠と対策
    4. 4枚目 競合比較
      1. I. プレゼン資料に書くこと
      2. II. お勧めの時間配分
      3. III. 陥りやすい罠と対策
    5. 5枚目 ターゲット市場
      1. I. プレゼン資料に書くこと
      2. II. お勧めの時間配分
      3. III. 陥りやすい罠と対策
    6. 6枚目 ビジネスモデル
      1. I. プレゼン資料に書くこと
      2. II. お勧めの時間配分
      3. III. 陥りやすい罠と対策
    7. 7枚目 収支計画
      1. I. プレゼン資料に書くこと
      2. II. お勧めの時間配分
      3. III. 陥りやすい罠と対策
  2. プレゼンテーションの準備や話し方のコツ
    1. プレゼン資料の作成段階でやるべきこと
      1. プレゼン資料の視認性を高める
      2. プレゼン資料のメッセージ性を高める
    2. リハーサル段階でやるべきこと
      1. 制限時間内にプレゼンテーションを終わらせる
      2. リハーサルを繰り返す
      3. 機器類のトラブルを防ぐ
    3. 本番当日にやるべきこと
      1. 緊張を受け入れる
      2. 審査員とコミュニケーションをとる

プレゼンテーションの流れと資料の作り方

プレゼン資料の構成7枚

 ビジネスコンテストでのプレゼンの流れの鉄板は、下記の7項目にまとめられます。

 ただし、この7項目は GTE ビジネスプラン・グランプリ で推奨している流れです。
 皆さんが挑戦するコンテストによって「必要な項目」や「実際のページ数」はちがいますので、皆さんが参加するビジコンに合わせて応用してみてください。

1枚目 タイトル (ひとことで言って、どんな問題をどう解決するのか?)

2枚目 解決したい問題 (誰の、どんな問題を解決したいのか?)

3枚目 解決策 (その問題に対して、どんな製品やサービスで解決するのか?)

4枚目 競合比較 (なぜ、顧客は他の製品やサービスではなくこれを買うのか?) 

5枚目 ターゲット市場 (顧客はどれだけいて、どれだけビジネスが大きくなりそうか?)

6枚目 ビジネスモデル (どこから、いくらお金が入って来るのか?)

7枚目 収支計画 (このビジネスは継続できるのか?)

実際のプレゼンの例

 実際のプレゼンの例として、GTE ビジネスプラン・グランプリ 2022 日本語部門で入賞した、「筋飯 Kitchen」の動画を紹介します。

 ここからは上記7項目のプレゼンの話し方や資料の書き方について詳しく見ていきますが、この動画もいっしょに見ることで、さらに理解が深まりますよ!

プレゼンの持ち時間と時間配分

 この記事では、プレゼンテーションの持ち時間を「5分」と想定して、それぞれのページの時間配分を説明しています。

 コンテストによっては 10分だったり、3分だったりすると思いますので、皆さんが参加するコンテストに合わせて応用してくださいね。

1枚目 タイトル

審査員
審査員

(…ひとことで言って、どんな問題をどう解決するのかな?)

プレゼンター
プレゼンター

私たちは、〇〇という問題を△△によって解決します!

I. プレゼン資料に書くこと

 1枚目のタイトルページには、下記の内容を書くのがお勧めです。

・ビジネスプラン名
・ビジネスプランに関係する写真やイラスト
・「〇〇という問題を解決する△△」という一文
・生徒氏名

 最重要なのは、「〇〇という問題を解決する△△」という一文です。

 この一文があれば、審査員は、ビジネスプランの全体像を把握した上でプレゼンを聞けます。

 なお、事前にビジネスプランの概要を伝える必要があるときも、「〇〇という問題を解決する△△を開発・販売します」などと書くと伝わりやすいですよ。

II. お勧めの時間配分

 プレゼンの持ち時間に関わらず、10 秒です。

 「私たちは、〇〇という問題を△△で解決します」と、力強くひとことで言い切ってみてください。

III. 陥りやすい罠と対策

 最初の出だしからガチガチに緊張してしまうと、その後のプレゼンが早口、小声になってしまいます。
 緊張しすぎないよう、何度も練習を重ねて、良いスタートダッシュが切れるようにしてください。

 とは言っても、やはり緊張しますよね。
 対策としてお勧めなのは、1枚目のタイトルでプラン名を叫んだり、決めポーズをしたりすることです。
 …安心してください、ほぼ 100% スベります。
 でも不思議なことに、最初にスベっておけば緊張がほぐれますし、審査員の緊張感もほぐれて、話をしやすくなりますよ(実は審査員も緊張しているんです!)。

2.解決したい問題

審査員
審査員

(…誰の、どんな問題を解決するんだろう?)

プレゼンター
プレゼンター

〇〇という社会課題によって、私たちの顧客である□□が、△△の問題で苦しんでいます。
その問題を解決したいのです!

I. プレゼン資料に書くこと

 2枚目の解決したい問題には、下記の内容を書くのがお勧めです。

・解決したい社会課題
・顧客(こきゃく。解決策である製品やサービスにお金を払ってくれる人)
・顧客が苦しんでいる個別具体的な問題
・顧客の数や問題に関する「客観的な統計データ」
・顧客の数や問題に関する「主観的なエピソードや個人的経験」

 最重要なのは、顧客が苦しんでいる具体的な問題です。

 つい、SDGs のような社会課題ばかりを話したくなりますが、地球や国連はお金を払ってはくれません。
 ビジネスプランをプレゼンするならば、実際にお金を払ってくれる顧客(こきゃく、カスタマー)の具体的な問題を解決する必要があります。
 大きな社会課題ばかりを書くのではなく、顧客の個別具体的な問題を詳しく書いてみてください。

GTEメンター柏
GTEメンター柏

ビジネスとは「誰かの、お金を払ってでも解決したいほどの問題を、”継続的に” 解決するための仕組み」とも言えます。
「サステナブルな問題解決のためにお金を稼ぐ」これをぜひ意識してみてください!

 ただし、社会課題解決をとくに重視するビジネスプランでは、お金を払ってくれる顧客が見つかりそうにないことが非常によくあります。

 例えば、貧困問題や環境問題などでは、「サービスの受益者にお金を請求できない」「どのサービスの受益者も、”自分ではなく別の人間が負担すべきだ” と主張してお金を払わない」ということが、ほとんど毎回起こります。

 この場合は、下記のどちらかのアプローチができないか考えてみてください。

< お金を払う顧客がいなそうに見えるときのアプローチ >

A) お金を払う能力が小さくても買える製品やサービスを提供できないか考える

B) 受益者以外の人や団体を顧客にできないか考える

 A) のアプローチは、グラミン銀行の例が代表的です。グラミン銀行は、バングラデシュの貧困農家に非常に少額の融資(マイクロファイナンス)を行うことで、貧困の解決に貢献しました。
 顧客の金銭負担能力が低くても、ビジネスを継続できるビジネスプランができないか? ぜひ考え抜いてください。

 B) のアプローチは、Google の検索エンジンなどユーザーは無料で使えるが広告主からお金をもらうウェブサービスや、支援者に寄付をもらう NPO 活動などが代表的です。
 B) の場合は、広告主や寄付支援者を顧客としてビジネスプランを組み立てる必要があります。
 つまり、「なぜ広告主や寄付支援者が、他の団体ではなく私たちにお金を出してくれるのか?」を考え抜いてください。

 現実のスタートアップ起業や NPO 活動では、広告主や寄付支援者がポンとお金を出してくれる、なんて甘いことはありません。
 広告主や寄付支援者は、「何を見返りにもってきてくれるんだ?」と常に値踏みしています(企業の CSR(社会的責任)担当部署でもそうです)。

 例えば、寄付支援者には毎月の活動状況報告を添えたサンキューレターを送る、セミナー参加費を無料にする、広告主のロゴを製品にでかでかと貼る、など、広告主や寄付支援者に分かりやすく実利のある「見返り」を考え抜いてみてください。

II. お勧めの時間配分

 プレゼンの持ち時間が5分であれば、1分30秒程度、最低でも1分以上話しましょう。

 解決したい問題はプレゼン全体で最重要項目なので、もっとも力と時間をかけるべき項目です。
 ぜひ、プレゼンの持ち時間全体の 25 ~ 30 % 程度の時間を割り当ててみてください。

 とくに、顧客から実際に聞いた話や自分自身の経験をはさみながら、「顧客の個別具体的な問題」や「主観的なエピソードや個人的経験」をじっくり話すのがお勧めです。

III. 陥りやすい罠と対策

 解決したい問題で陥りやすい罠は、2つあります。

 1つ目は、「社会課題だけを語り、お金を払ってくれる顧客は誰なのか、また顧客がどんな問題で苦しんでいるのかを話していない」ことです。
 これは、高校生のプレゼンを数多く見てきた中で一番多い落とし穴です。

 ビジネスは、サステナブルに世の中の問題を解決するための仕組みとも言えます。
 実際にお金を払ってくれる顧客の問題を解決しないと、継続的にお金をもらい、世の中の問題解決に貢献することはできません。

 必ず、下記2点を説明してみてください。
  ・皆さんの製品やサービスにお金を払ってくれる顧客とは、一体誰なのか?
  ・顧客は何に困っているのか?


 2つ目は、その問題に関する「主観的なエピソードや個人的経験」を話していないことです。

 これを話さないと、「なぜあなたはその問題を解決したいのか?」理由が乏しくなります。最悪、問題解決へのパッションが低いようにも受け止められかねません。

 また、問題への理解がニュースやネット、教科書にあるような情報だけだと、その問題を深く理解できません。
  ・自分自身の経験
  ・身近な人の経験
  ・自分自身ではなくても顧客へのインタビューや観察を通して得た思い
 などを審査員に伝えましょう。

 主観的なエピソードや個人的経験をプレゼンで話すことで、その問題への情熱や理解を示すことができますよ。

審査員
審査員

・あなたはなぜその問題を解決したいのか?
・あなたはその問題をどこまで理解しているのか?
ぜひ、教えてくださいね!

3枚目 解決策(製品またはサービス)

審査員
審査員

(…その問題に対して、どんな製品やサービスで解決するんだろう?)

プレゼンター
プレゼンター

私たちは、〇〇という問題を△△によって解決します!
具体的な機能は・・・
この機能を実現するためのテクノロジーは・・・

I. プレゼン資料に書くこと

 3枚目の解決策には、下記の内容を書くのがお勧めです。

・まずは、製品またはサービス(*)の概要を一文で
・なぜ「その製品またはサービスが顧客の問題解決につながるのか」の説明
・その製品またはサービスの機能詳細
・その製品またはサービスのイメージ(画面・使い方動画・写真・実物モデルなど)
・その製品またはサービスを実現するテクノロジー

 (*) 機械装置などの形ある商品を「製品」、塾やウェブアプリなど形のない商品を「サービス」と言います。

 最重要なのは、なぜ「その製品またはサービスが顧客の問題解決につながるのか」の説明です。

 実際のスタートアップ起業でも、もっとも重要な成功要因の一つは「問題と解決策とがフィットしていること」です(Problem Solution Fit (PSF)と言います)。

 そのため、多くのビジネスコンテストで審査員は、「問題と解決策とがフィットしているか?」を常に意識しながら皆さんのプレゼンを聞いています。ぜひ、解決策が問題解決につながることを分かりやすく話してください。

 なお、もしページ数に制限がないコンテストであれば、下記のように3枚に分けると分かりやすい説明になると思います。

  ① 製品またはサービスの概要と、それが顧客の問題解決につながるという説明
  ② 製品またはサービスの機能詳細とイメージ
  ③ 製品またはサービスを実現するテクノロジー

II. お勧めの時間配分

 プレゼンの持ち時間が5分であれば、1分 ~ 1分15秒程度にするのがお勧めです(プレゼン全体の持ち時間の 25% 程度)。

 また、どんなに長くなったとしても1分30秒以上かけるのはお勧めできません。
 解決策はとても大事な項目ですが、ここばかり話しすぎると市場やファイナンスなどお金の話をする時間がなくなってしまいます。

III. 陥りやすい罠と対策

 解決策では、陥りやすい罠が2つあります。


 ■ テクノロジーを重視するコンテストでよくあるミス

 テクノロジーの内容、必然性、具体的にどんな仕組みで問題を解決するのかなどの説明が薄いと、実現可能性が低いビジネスプランに見えることがあります。

 例えば、「AI で英語力を上げるウェブサービスです」と言う場合、AI をどんな用途で使うのか?(パターン認識? チャットボット?) その AI が重視する特徴量は何があるのか? 学習データとしてどんなデータをどれだけ集めるのか? 教師データを使うのか? そもそもなぜ AI を使わないといけないのか? などの具体的な説明がないと、「表面的な理解しかしていない」と審査員が判断するかもしれません。

 必ず、表面的な理解ではなく、自分でテクノロジーの基礎的な仕組みを理解した上で、ビジネスプランを具体化してみてください。この記事の「解決策となる製品やサービス」と「競合優位性」の原文とアドバイスが参考になると思います。

 なお、テクノロジーを理解するには研究論文をたくさん読んでみることがお勧めです。
 以下のサイトを参考に、テクノロジーに親しんでみてください。

< テクノロジーへの理解を深めるオススメサイト >

CiNii
 国立情報学研究所の論文データベースサイトです。
 最初はちんぷんかんぷんで頭が痛くなるだけだと思いますが、最初はそれで OK です! 色々な論文を何度も見ていると「なんか見たことのある単語がまた出たな」「この論文でもあの論文でも、これが大事だと共通して言っているな」などと、だんだん見なれてきて、論文を読むことが面白くなってくるかもしれませんよ。

YouTube
 YouTube の検索窓に知りたいテクノロジーを入力して検索すれば、色々な動画にアクセスできます。YouTube は初心者向けの内容が多いので、まず YouTube でうっすら知識をかじってから Google などで検索していくのがオススメです。
 とくにオススメは、英語の動画を見ること。ハーバードや MIT など海外の有名大学の授業風景を字幕付きで見られるので、英語の勉強にもなりますよ。

・興味のある大学のサイト
 少しでも興味がある大学があれば、その大学のサイトをのぞいてみましょう。その大学が力を入れている研究分野について、詳しい資料があったり、基礎的な用語解説があったりすることがあります。
 受験の前大学研究としてもオススメですよ。


 ■ 社会課題の解決を重視するコンテストでよくあるミス

 その製品やサービスを実現するために必要なリソースの内容や必然性、具体的に何をするのかなどの説明が薄いと、実現可能性が低いビジネスプランに見えます。

 リソース(資源)は、テクノロジーに限りません。
 何かを実現するためには、専門知識を持った「人」が必要になることが多いです。

 例えば、「メンタル面に不安を持っている人にカウンセリングします」と言う場合、誰がカウンセリングするのか? カウンセリングとは具体的に何を話し、どんな心理療法を使うのか? なぜわざわざカウンセラーがあなたの事業に協力するのか? などが分からないと、審査員は製品やサービスの実現可能性が判断できなくなります。

 必ず、リソースの内容や必然性などを具体化してみてください。

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プレゼンター
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4枚目 競合比較

審査員
審査員

(…なぜ、顧客は他の製品やサービスではなくこれを買うんだろう?)

プレゼンター
プレゼンター

私たちの製品は、競合製品 A や B では徹底的に解決できなかった〇〇を徹底的に解決できます!

だから、価格は A や B より高くても、顧客は私たちの製品を買うはずです。

I. プレゼン資料に書くこと

 4枚目の競合比較には、下記の内容を書くのがお勧めです。

・比較項目(問題を解決する機能、価格、宣伝広告方法など)
・比較項目に応じた自社製品と、競合製品とのちがい
・比較項目ごとの個別評価
・総合評価

 競合比較は、表形式でまとめると分かりやすいです。下記の表を参考にしてみてください。

比較項目自分たちの製品競合 A競合 B
問題 a を解決する機能〇 徹底的に解決できる〇 徹底的に解決できる△ 影響を減らせるだけ
問題 b を解決する機能〇 徹底的に解決できる× 解決できない△ 影響を減らせるだけ
価格× 1本 XXX 円△ 1本 XXX 円〇 1本 XXX 円
販売場所△ 自社店舗のみ〇 全国のコンビニ〇 全国のコンビニ
宣伝広告方法△ チラシとウェブ広告〇 テレビ CM△ 雑誌広告
総合評価
起業したてで知名度はなく
価格も高いが、
他社にできない問題 b を
徹底的に解決できる

ブランド力は抜群だが、
問題 b を解決できない

価格は一番安いが、
問題 a も b も
徹底的に解決できない
競合優位性の比較表の例

 最重要なのは、総合評価や個別評価のなかで、「顧客が苦しんでいる問題を自社製品が徹底的に解決できる」と説明できているかどうかです。

 競合と比べて負けている部分があっても構いません。
 顧客がその製品やサービスを買うかどうか決める最大の理由は、「いま自分が苦しんでいる問題を徹底的に解決できるかどうか」です。

 「なぜ顧客が競合製品ではなくあなたの製品を買うのか?」 その理由を必ず書くようにしてみてください。

II. お勧めの時間配分

 プレゼンの持ち時間が5分なら、30秒前後がお勧めです(プレゼン全体の 10 % 程度)。

 なぜ顧客が、競合製品ではなくあなたの製品を買うのかを強調して話せば OK です。比較表の細かい内容を話す必要は必ずしもありません。

III. 陥りやすい罠と対策

 競合比較の落とし穴は大きく分けて3つあります。

 1つ目は、「競合はいない」と言ってしまうことです。
 スタートアップ起業の世界では、「競合はいない = 誰もその製品やサービスをほしがっていない」の意味だと捉えられてしまいます。もしその製品やサービスにニーズがあるなら、顧客は必ず似たような代替品で対策を行っています。
 例えば、スマホ依存症対策の画期的なサービスを提供するというビジネスプランの場合、そのサービスと全く同じことをしているライバルは確かにいないかもしれませんが、スマホロックアプリだったり、マナーモードだったりを使って対策をしているはずなので、それらが競合になりえます。

 2つ目は、自分に都合のよい点だけ比べていることです。
 競合に負けている点があっても良いのです。
 競合よりも価格が高く、知名度がなくても、顧客が苦しんでいる問題を徹底的に解決できれば競合優位性をアピールできますよ。

 3つ目は、競合と比べて勝っているのが「価格だけ」または「問題解決に直接つながらない機能だけ」ということが非常に多いです。
 「価格がちょっと安い」「機能がちょっと豊富」というだけだと、ライバルはすぐに真似ができるので、競合優位性があるとは言いづらいのです。

GTEメンター柏
GTEメンター柏

正直めちゃくちゃ難しいのですが、「なぜ顧客は、競合製品ではなくあなたの製品を買うのか?」を自分に問い続けてください。
納得のいく回答が言語化できれば、自信を持ってプレゼンできるはずですよ!

5枚目 ターゲット市場

審査員
審査員

(…顧客はどれだけいるんだろう?)

プレゼンター
プレゼンター

国勢調査のデータによると、□□という属性の人は約 (A) 人います。
その中で、〇〇という問題に困っている顧客は、ある企業のデータによると (B) % でした。
さらに、私たちが顧客候補に行ったアンケートでは (C) % の割合で「△△円だったら買う」と答えています。

以上から、A × B % × C % = X,XXX, XXX 人が、私たちが現実的にリーチできる市場の大きさだと見込んでいます。

審査員
審査員

(…なるほど。しかし、このビジネスは大きくなるんだろうか?)

プレゼンター
プレゼンター

□□という属性の人は、国勢調査の推移によると年率 (D) % 多くなっています。
さらに私たちは、3年以内に製品ラインアップを広げることで■■という属性の人も顧客にできると考えています。

だから、私たちがねらうマーケットはどんどん大きくなります!

I. プレゼン資料に書くこと

 5枚目のターゲット市場には、下記の内容を書くのがお勧めです。

・市場の大きさ(顧客の数や、取引金額など)
 ・上記を裏付ける統計データまたは推定
・その市場の中で現実的にリーチできる顧客の数
 ・上記を裏付ける統計データまたは推定、あるいは自分で集めたデータ
・その市場が成長しているか、縮小しているか
・将来的に広げられる別の市場はあるか

 最重要なのは、「その市場の中で現実的にリーチできる顧客の数」です。

 国や企業が公開している統計データやアンケート調査データなどを調べて、皆さんがリーチできる顧客(つまり、皆さんの製品やサービスを届けられる顧客)の数がどれだけか、計算してみてください。

 しかし、ちょうどよいデータが無いことも多いです。そのときは似たようなデータを基に、推定します。
 例えば「県内の中学生で、塾に通っている生徒がどれだけいるかいるか分からない」というときは、他の県のデータ、高校生や小学生で塾に通っている生徒のデータ、それもなければ友達 10 人に聞いて何人が通っているか、などから数字を推定してみてください。

 現実のビジネス、スタートアップ企業でも、正確な顧客の数は分からないことが非常に多いので、根拠さえ明確に示せば推定でも OK ですよ。


 なお、ターゲット市場は、TAM ⇒ SOM ⇒ TM の順番で絞り込んでいくのがお勧めです。

ターゲット市場(TAM, SOM, TM)

・TAM (Total Addressable Market): 製品やサービスが潜在的に販売可能な最大市場のこと
・SOM (Service Obtainable Market): TAM のなかで会社が現実的に獲得可能な市場のこと
・TM (Target Market): SOM のなかで会社が市場調査や販売プロモーション活動)を集中させる特定の顧客層のこと

 具体例がある方が分かりやすいので、DECA JAPAN ビジネスプランコンテストで優勝したチーム「Hair Manager」の例を紹介します(Forbes Japan の掲載記事はこちら)。

■ DECA JAPAN ビジネスプランコンテスト優勝チーム「Hair Manager」

問題 : 髪の毛を乾かす時間が長すぎるし、髪の毛が乾くまで何もできない。
解決策: 髪の毛を乾かす間に他のことができる、帽子型のハンズフリーのドライヤー「Hair Manager」を開発する。

ターゲット市場:
TAM (Total Available Market) 日本の女性 約 6,500 万人を、このビジネスがリーチできる全体市場として想定する。
SAM (Serviceable Available Market) 日本の女性全体のうち、30歳から44歳までの働く女性 約 900 万人を、実際に顧客としてアプローチできる市場として想定する。
TM (Target Market, または SOM: Serviceable Obtainable Market とも) 30歳から44歳までの働く女性全体のうち、髪型や美容に強い関心のある約 300 万人の顧客層を、最終的にこのビジネスで現実的にアプローチできるターゲット市場とする。
市場の拡大戦略 最初は日本市場だけでビジネスを展開するが、3年目からはインドネシアでもビジネスを開始する。インドネシアを想定した理由は、人口動態として働く若い女性人口が多く、また可処分所得も増大傾向にあり、市場の拡大が期待できるからである。


 ターゲット市場を算出するためのデータで、審査員がもっとも高く評価するのは自分で集めたデータです。

 例えば、友達や周りの人、顧客候補の人などに話を聞き、「10人中 3人が、××円ならこの製品を欲しいと答えた」など、自分だけのデータをぜひ手に入れてみてください。この記事の「ターゲット市場」が参考になると思います。

 「ネットで拾ったデータだけでなく、自分で考え行動してデータを集めたんだな」と分かると、審査員は、あなたの情熱やビジネスプランの実現可能性を高く評価するはずですよ。

GTEメンター柏
GTEメンター柏

顧客数の求め方については、別ページの収支計画(フィナンシャルプラン)の作り方7ステップも参考にしてみてください。

II. お勧めの時間配分

 プレゼンの持ち時間が5分なら、30 秒程度がお勧めです(プレゼン全体の約 10 %)。

 数字の根拠さえ明確に示しさえすれば、細かい数字をすべて話す必要はありません。

III. 陥りやすい罠と対策

 市場の大きさを根拠を持った数字で示せないことが、もっともよくある落とし穴です。

 例えば、「僕たちのサービスは、ほとんどの人が興味を持ってくれています」「高校生全員が私たちのターゲットです」というような説明だと、あまりにも大雑把すぎて、市場調査がされていないのだと審査員に判断されかねません。

 市場の大きさを詳細に計算するとき、使いやすい統計データのサイトを下記に紹介しますので、ぜひ活用してみてください。

< 市場の大きさを詳細に計算する際に使いやすいサイト >

総務省統計局
 国勢調査や人口推計など、統計データを知りたいときにまずアクセスすべきサイトです。
 例えば、「県内に学生は何人くらいいるんだろう?」「日本の家族構成はどう変わってきたんだろう?」「どんな産業にどれくらいの人が働いているんだろう?」など、数多くの疑問に答えてくれるはずですよ。

e-Stat
 総務省統計局と同じく、政府統計がまとめられたサイトです。
 とくに使いやすいのは、学校基本調査でしょう。中学生・高校生が作るビジネスプランには、同じ中学生・高校生を顧客にするプランが多いと思いますが、その際はこちらのサイトを参考にして市場の大きさを計算してみてください。

GoogleBing などの検索エンジン
 インターネットからデータを探すには、検索エンジンをいかに使いこなせるかが勝負です!
 「市場 〇〇」「統計データ 〇〇」 「〇〇 高校生 割合」など、AND 検索(複数のキーワードを含む検索。単語の間にスペースを入れて検索する)や、フレーズ指定検索(フレーズ内の語句に一致するページのみを検索。” ”(二重引用符)の中に検索したい語句を入れて検索する)などを使い、検索エンジンに親しんでいきましょう。
  

6枚目 ビジネスモデル

審査員
審査員

(…どこから、いくらお金が入って来るのかな?)

プレゼンター
プレゼンター

私たちの顧客は〇〇で、××円でオンライン販売します。
自分たちのオンラインショップと、集客力のある有名なオンラインモールで販売します。

I. プレゼン資料に書くこと

 6枚目のビジネスモデルには、下記の内容を書くのがお勧めです。

・お金を払ってくれる顧客
・販売単価
・販売チャネル
・お金を払わないといけない取引先
・調達単価

 最重要なのは、「お金を払ってくれる顧客」です。

 ビジネスモデルは、自社を中心に置いたシンプルな図で表現することが多いです。
 色々なビジネスモデルのパターンを下記に紹介しますので、皆さんのプランに応じて応用してみてください。

ビジネスモデル例1
ビジネスモデル例2
ビジネスモデル例3
ビジネスモデル例4

II. お勧めの時間配分

 プレゼンの持ち時間が5分なら、20 秒程度がお勧めです(持ち時間全体の約 7 % 程度)。

 20 秒程度でシンプルな説明で OK だと思いますが、上図の例3つ目のように「実際に製品やサービスを使うユーザーと、お金を払ってくれる顧客とが別々」の場合など複雑な場合は、30 秒程度かけて説明するとよいでしょう。

III. 陥りやすい罠と対策

 どこからお金が入ってくるのか書いていないと、審査員は、ビジネスとして継続可能かどうか不安になってしまいます。

 とくに多い罠は、アプリサービスや社会課題解決型のサービスで、「実際に製品やサービスを使うけれどお金を払わない人(ユーザー)しか書いていない」というパターンです。

 例えば「広告主として企業がお金を払ってくれます」「月額制寄付プログラムとしてサポーターがお金を払ってくれます」など、どこからお金が入って来るかをしっかり書いておいてください。

7枚目 収支計画

審査員
審査員

(…このビジネスは継続できるのかな?)

プレゼンター
プレゼンター

1年目は初期コストがかかるので、〇〇から資金調達します。
広告宣伝やプロモーション活動をすることで、起業後 × 月目からは売上とコストが同程度になるよう目指します。
さらに起業後 × 月目からは市場を広げることで、利益率 ××% を目指します!

I. プレゼン資料に書くこと

 7枚目の収支計画には、下記の内容を書くのがお勧めです。

・起業後数年間の売上、コスト、利益
・売上の根拠となる計算式(年間販売数量 × 販売価格 × 顧客一人あたりの購買頻度など)
・コストの根拠となる売上原価(*)の内訳と費用
・コストの根拠となる一般管理費(*)の内訳と費用
・初期コストをまかなうための資金調達の方法と金額

(*) 売上原価とは、商品の製造や調達に直接かかったコストのことです。例えば、メーカーが原材料を仕入れるコストや、コンビニがメーカーから商品を仕入れる調達コストなどがあります。
(*) 一般管理費とは、商品の製造や調達に直接かかわらないコストのことです。例えば、給料、オフィス家賃、広告宣伝費などがあります。

 最重要なのは、「売上の根拠となる計算式」です。

 売上、コスト、利益を示した上で、なぜそれだけの売上になるのか? 数字の根拠を持って説明するのが大事です。

 下記に、収支計画のサンプルを示しますので参考にしてみてください。

審査員
審査員

金額を書くとき、下記3点を守ってもらえると審査員としてはポイント高いです!
 1.金額の単位を明記する(円、千円、$など)
 2.桁を合わせて、右揃えにする
 3.3桁ごとにカンマを入れる(1,000)

分類項目単価
(千円)
数量期間1年目
(千円)
2年目
(千円)
3年目
(千円)
売上売上 95,000年間45,000225,000630,000
売上原価原材料費 45,000年間20,000 95,000252,000
工場従業員人件費100 5 6か月 3,000 18,000 72,000
売上総利益 売上総利益(売上 - 売上原価)22,000112,000306,000
一般管理費オフィス家賃420 112か月 5,040 19,440 76,320
水道光熱費146 112か月 1,752 6,240 18,720
ウェブサイト費用536 1年間 536 536 1,608
役員及び従業員人件費300 312か月10,800 64,800129,600
宣伝広告費(ブース出展)900 5 4,500 9,000 30,000
宣伝広告費(SNS)120 212か月 2,880 8,640 21,600
宣伝広告費(プロモビデオ制作費)268 1 268 0 804
 一般管理費合計25,776108,656278,652
利益利益(売上総利益 - 一般管理費)– 3,776 3,344 27,348

収支計画の例 (※ 単価 × 数量 × 期間 = 1年目の金額)
GTEメンター柏
GTEメンター柏

収支計画の作り方は、収支計画(フィナンシャルプラン)の作り方7ステップでも特集しています!

II. お勧めの時間配分

 プレゼンの持ち時間が5分なら、30 秒程度がお勧めです(プレゼン時間全体の 10% 程度)。

 収支計画で何を話せばいいのか悩む人が多いですが、下記のような点を強調してみてください。細かい数字は説明不要です。

< 収支計画のページで話すことの例 >

・「3年目の売上金額は、XX 円を見込んでいます」
・「3年目の利益は、XX 円を見込んでいます」
・「3年目の利益率(利益 ÷ 売上 × 100%)は XX %を目指します」
・「1年目は赤字(利益がマイナスであること)ですが、2年目で損益分岐点(利益がゼロになる売上規模)に到達、3年目に黒字を見込んでいます」
・「なぜ3年目にこれだけ売上が伸びるかというと、販売店を3つに増やすと同時に、広告宣伝にかける予算とメディアを増やすからです」

III. 陥りやすい罠と対策

 収支計画では、正反対の2つの落とし穴があります。
 売上や利益が「大きすぎる」ことと「小さすぎる」ことです。


 1つ目のよくある落とし穴は、現実のスタートアップ起業ではありえないほど大きな売上、利益である場合です。
 下記の例を参考に、数字を見直してみてください。

< 現実のスタートアップ起業ではありえない売上、利益の例 >

・起業1年目からすぐ億単位の売上がある (現実のスタートアップ起業では、起業してすぐ売上が立つのは大変難しいのです)
・利益率(利益 ÷ 売上 × 100%)が数十% ある (日本の上場企業の平均は 3.2% 程度。トヨタは 8 %程度。任天堂は例外的にすごくて 35% 程度ありますが)

  ただし、学問や社会課題解決を重視するビジコンの場合は、ありえない数字であってもマイナス評価をされないことが多いです。


 もう1つのよくある落とし穴は、お金を稼ぐことに罪悪感や自身のなさを感じて、小さすぎる売上、利益にしてしまう場合です(自分自身を含めた従業員の給料が安すぎる場合もよく見ます)。

 しかし、「お金をもうけることは最大の社会貢献活動」だということを忘れないでください。
 お金を稼いで税金を納めれば、医療、福祉、教育などの財源になります。

 お金もうけこそ社会課題解決に直接つながるアクションなので、より売上、利益を上げられる野心的なビジネスプランをぜひ作ってみてください。

ここから下は、プレゼンの準備や話し方のコツです!

 「1.プレゼン資料の作成段階でやるべきこと」
 「2.リハーサル段階でやるべきこと」
 「3.本番当日でやるべきこと」

この3段階に分けて、ポイントをまとめていきます。

プレゼンテーションの準備や話し方のコツ

プレゼン資料の作成段階でやるべきこと

プレゼン資料の視認性を高める

・ポイント1: 大きな文字サイズだけを使う。

 もちろん書いてある内容にもよりますが、大体の目安として、Microsoft PowerPoint なら 28 ポイント以上、Google Slide なら 21 ポイント以上、Canva なら 32 ポイント以上の文字を使うのが大まかな目安です。
 プレゼン資料は「読ませるもの」ではなく「見せる」ものです。審査員の目線はプレゼン資料ではなく、皆さん自身に常に向けさせるようにしてください。
 文字サイズを大きくするということはつまり、「必要な情報以外は、削る!」という意味でもあります。

・ポイント2: 色のコントラストをはっきりさせる。

 淡い色合いでページを作ると、近くで見るとキレイですが、プレゼン会場で遠くから見ると非常に見えづらいことがあります。
 また、プレゼン会場のプロジェクターが古い機種の場合、淡い色合いはまったく映らず何が書いてあるか分からない… ということも最悪あります。

・ポイント3: 数字には単位とカンマを明記し、桁を合わせる。

 とくに収支計画のページでは、ぜひ下記3点に留意してみてください。この3点がないと、審査員は数字を誤解する可能性があります。

  1.金額の単位を明記する(円、千円、$など)
  2.桁を合わせて、右揃えにする
  3.3桁ごとにカンマを入れる(1,000)

プレゼン資料のメッセージ性を高める

・ポイント4: 審査基準にそった部分を強調する。

 どのビジネスコンテストにも、審査基準や審査のポイントが明記されているはずです。必ず確認しましょう。
 審査基準に合った部分を強調することで、審査員にアピールしやすくなります。

 例えば、日本政策金融公庫のビジネスプラン・グランプリの審査ポイントは4つあり、Point 2 の「顧客」を見ると、販売方法や広告・宣伝方法について書かれています。
 なので、プレゼン資料には必ず販売方法や広告・宣伝方法について書き、プレゼンで強調するとよいでしょう。

GTEメンター柏
GTEメンター柏

これはビジコンによってちがいますが、プレゼン審査では、審査基準に沿ったスコアシートを使って審査員が採点をする場合があります(少なくとも我々の GTE ビジネスプラン・グランプリはそうです)。

だから、審査ポイントは必ずチェックしておいてくださいね!

・ポイント5: 1ページ1メッセージとする。

 1つのページに言いたいことが複数あると、メッセージが複雑になり、審査員に伝わりづらくなります。
 分かりやすく印象的なプレゼンを行うには、1ページ1メッセージを徹底しましょう。
 非常にシンプルな原則ですが、1ページ1メッセージを守ると、審査員への伝わりやすさがまったくちがいますよ。

・ポイント6: 統計データやニュース記事などには必ず引用元を書く。

 統計データやニュース記事を見せる場合は、必ず引用元を明記してください。
 引用元がないとプレゼンの信頼性や倫理観を疑われる場合があります(なお、引用の文字サイズは非常に小さくして OK です)。

< 引用の例 >

(例えば、グラフを載せたら下記の引用元を明記しておく。)

文部科学省(2020)大学入学者数等の推移 https://www.mext.go.jp/content/20201126-mxt_daigakuc02-000011142_9.pdf

リハーサル段階でやるべきこと

制限時間内にプレゼンテーションを終わらせる

・ポイント7: 1ページあたりの時間配分を決める。

 ざっくりでよいので、1ページあたりの時間配分を決めておけば、時間の全体見通しを持ってプレゼンできます。
 下記の時間配分の例を参考にしてみてください。

ページページの内容時間配分の例
(5分の場合)
割合お勧めのメリハリ
タイトル 10 秒 3%早口で OK
解決したい問題 90 秒 30%ゆっくり間をとって話す
解決策 75 秒 25%概要はゆっくり、詳細は早口
競合比較 30 秒 10%早口で OK
ターゲット市場 30 秒 10%ゆっくり間をとって話す
ビジネスモデル 20 秒 7%早口で OK
収支計画 30 秒 10%早口で OK
バッファ(予備) 15 秒 5%
合計 300 秒100%
プレゼンテーションの時間配分の例(持ち時間5分の場合)


・ポイント8: タイマーを使って時間を計測する。

 なんとなく測った時間計測では、当日本番のプレゼンをしたとき、時間オーバーをしたり速く終わったりする場合があります。
 必ずタイマーを使って時間を計測しましょう。
 とくに複数人のチームでプレゼンする場合はタイマー必須です。複数人の場合は、メンバーの入れ替わりやパソコンの操作などで思った以上に時間を食うからです。

リハーサルを繰り返す

・ポイント9: プレゼンのリハーサルを繰り返す。

 リハーサルを繰り返せば、本番当日で緊張しても、自然に話が出てくるようになります。2,3回で OK ではなく、10 回でも 100 回でも繰り返しましょう。
 とくに複数人のチームでプレゼンする場合は、全員でリハーサルを繰り返してください。
 「各自で十分練習していたけど、全員でのリハーサルが1,2回だったため本番でうまくいかなかった…」というのは非常によくある落とし穴です。

・ポイント10: 質疑応答のリハーサルを繰り返す。

 質疑応答での印象は、皆さんが思っている以上に審査スコアに影響します。
 プレゼンだけでなく質疑応答も練習しておかないと本番当日でフリーズしがちなので、必ず質疑応答のリハーサルも繰り返しましょう。

 想定される質問は、まずは自分が思いつくものから洗い出します。
 次に、友だちや周りの人にプレゼン資料を見てもらって、質問してもらうとよいでしょう。おそらく自分では思いつかなかったようなプレゼンの穴が見つかるはずですよ。
 プレゼン資料のブラッシュアップにも役立つので、必ず想定質問を洗い出しておいてくださいね。

・ポイント11: 手元メモは必ず作る。しかし台本は作らない。

 台本を作ると、どうしても一言一句の細かい言い回しに気が取られてしまい、本番当日で言葉が出なくなることがあります。
 とはいえ、何もメモがないと、「完璧に思い出さないと!」と緊張感でいっぱいになってしまいます。

 お勧めは、A 4 用紙半分くらいの大きさで、各ページで話すキーワードだけをメモした手元メモを作っておくことです。
 手元メモがあればお守り代わりになりますので、緊張に呑まれることなくプレゼンを乗り切れますよ!

機器類のトラブルを防ぐ

・ポイント12: プレゼン資料の操作方法を決めておく

 プレゼン資料の操作はキーボードなのか、マウスなのか、ボタン付きレーザーポインターで操作するのかなど、細かいですが決めておき、本番当日と同じ操作でリハーサルをしておきましょう。
 また、複数人のチームでプレゼンする場合は、誰がプレゼン資料を操作するかを決めておくと、本番当日に混乱しなくなりますよ。

・ポイント13: プレゼンファイルの予備を持っておく

 ファイルの準備をコンテスト運営者ではなく自分たちでやる場合、「思いがけずプレゼン資料のファイルが開かない!」「オンライン上のファイルでプレゼンしようと思ったらインターネットにつなげない!」というトラブルが想定以上に起こります。
 下記のようなリスク回避策をとっておくとよいでしょう。

< 自分たちでプレゼンファイルを用意する場合のリスク回避策 >

・予備のプレゼンファイルをコピーして作成しておく
・オンライン上のプレゼンファイルをダウンロードして予備を持っておく
・予備のパソコンを持っておく
・パソコンのバッテリーを持参しておく

・ポイント14: プロジェクターの接続確認をしておく

 パソコンとプロジェクターとの接続を、コンテスト運営者ではなく自分たちでやる場合、「思いがけずプロジェクターにつなげなかった!」というトラブルが想定以上に起こります。
 下記のようなリスク回避策をとっておくとよいでしょう。

< 自分たちでプロジェクターとパソコンとを接続する場合のリスク回避策 >

・パソコンの映像をプロジェクターに投影できるかあらかじめテストしておく
・テストした結果、意図せぬ色合いで投影された場合、プレゼン資料の色を変更しておく
・端子の変換ケーブルを用意しておく(パソコン側の端子の種類は Type-C? USB? VGA? HDMI? Micro HDMI? VGA(D-sub)?)

端子は、パソコン側とプロジェクター側の両方にあり、またオス側とメス側があります。よく分からず変換ケーブルを買うと使えないことがあるので、店員さんや詳しい人に聞いてから買うことを超絶オススメします!

・ポイント15: オンラインでプレゼンする場合のトラブルを防ぐ

 Zoom や Teams などのオンラインでプレゼンを行う場合、画面共有がうまくいかなかったり、マイクやカメラの調子が悪かったりすると、思った以上に緊張したり、審査員の印象が悪くなったりします。
 下記のようなリスク回避策をとっておくとよいでしょう。

< オンラインでプレゼンする場合のリスク回避策 >

・画面共有ができるかあらかじめテストしておく
・カメラの ON / OFF をテストしておく
・マイクの ON / ミュートをテストしておく(マイクの初歩的なミスをする人が非常に多いです!)
・遅くとも時間 10分前には入室しておく(なぜか入室に時間がかかった、なぜか入れない、といったトラブルも頻出です)

本番当日にやるべきこと

緊張を受け入れる

・ポイント16: 緊張してもいいんだと理解する

 本番当日は、すごく、すごく緊張すると思います。
 「緊張しちゃダメだ!」と思うと余計緊張するので、むしろ「ああ、自分はいま緊張しているんだな」と受け入れてしまいましょう。

 緊張感は、成功するプレゼンテーションに不可欠な要素です。
 ぜひ「自分は緊張してしまうくらい、このプレゼンに思いを持っているんだな!」と、ここまでがんばってきた自分をほめてくださいね。

・ポイント17: 緊張をほぐすために身体を操作する

 とはいえ、過剰に緊張するとプレゼンが早口、小声になる可能性もあります。
 緊張を適度に下げるため、イイ感じに身体をほぐしましょう。
 下記のように身体を操作することがお勧めです(どれも実際に、プロの講師が壇上に立つ前にやっていることです)。

< 緊張をほぐすための身体の操作の例 >

・あくびをする ⇒ 口の周りの筋肉がほぐれ、大きな声やよく通る声が出やすくなります
・ベロを動かす ⇒ 口の周りの筋肉がほぐれ、大きな声やよく通る声が出やすくなります
・深呼吸する ⇒ 脈拍をいったん下げます
・おなかを前に出してゆるめる ⇒ おなかが前に出ると、大きな声やよく通る声が出やすくなります
・1秒間つま先立ちする ⇒ 重心が身体の中心に来て、身体が左右にゆれるのを防ぎやすくなります
・肩を広げる ⇒ 重心が身体の中心に来て、身体が左右にゆれるのを防ぎやすくなります

・ポイント18: 大きくジェスチャーをしながら話す

 プレゼン中、ジェスチャーで身体を動かしながら話した方が、緊張がほぐれて大きな声やよく通る声が出やすくなります。
 とくに壇上でプレゼンする場合やオンラインでプレゼンする場合は、「ちょっとオーバーかな?」くらいの方が審査員からはちょうどよいジェスチャーに見えます。

 ただし、本番当日にいきなりジェスチャーをしようとすると微妙な動きになりますので、リハーサルのときも本番当日と同じジェスチャーでリハーサルしておきましょう。

・ポイント19: 緊張しても審査に影響がないことを理解する

 プレゼン中に緊張していたり、かみまくったりすると、「審査に影響しないだろうか…?」と不安になると思います。
 安心してください。緊張していても、かみまくっても、それでスコアが悪くなることはありません。(ただもちろん、緊張でプレゼン時間がオーバーしてしまったり、早口小声で理解しづらくなったりすると別ですが…)

 このことを知っておくだけでも、皆さんの不安がやわらぐのでは? と思います。
 実際に、GTE ビジネスプラン・グランプリ 2022 の動画を見てもらうと分かりますが、発表した生徒は緊張で言葉に詰まったり、かんだりを何度もしていますよね。でも、彼はこのコンテストで入賞をしています。

審査員とコミュニケーションをとる

・ポイント20: 審査員を見る。

 プレゼンでは、つい自分のことで必死になってしまい、「審査員にプレゼンを聴いてもらう」という当たり前のことを忘れがちです。
 プレゼンで話す相手は、審査員です。必ず、審査員を見ながらプレゼンしましょう。

 リハーサルのときにお勧めなのは、自分の好きなぬいぐるみなどを相手にプレゼンすることです。
 ぬいぐるみ相手にリハーサルすると、自然にアイコンタクトがしやすくなったり、笑顔が出たりすると思います。すると、思った以上に本番当日のプレゼンでもアイコンタクトや笑顔が出やすくなりますよ。

・ポイント21: 審査員に自分を見てもらう。

 審査員に見てもらうのはプレゼン資料ではありません。あなた自身を見てもらってください。

 重要なのは、小さい文字でごちゃごちゃしたプレゼン資料にしないことです。
 審査員は小さな文字を読むのに必死になってしまい、話が耳から入ってこなくなります。

・ポイント22: オープニングで審査員を惹きつける。

 プレゼンは、最初の 30 秒が命です!
 印象的なオープニングで審査員を惹きつけましょう。使いやすいテクニックとしては下記があります。
  ・質問を投げかける
  ・印象的なエピソードを冒頭に話す
  ・意外な統計データを示す

 例えば、GTE ビジネスプラン・グランプリ 2022 の動画では、最初に質問を投げかけることで審査員に興味を持ってもらうようにしています。
 ぜひ、最初の 30 秒が命と思ってプレゼンを組み立ててみてください。

・ポイント23: かんでも、たどたどしくても、文法がちょっとおかしくても OK と理解する。

 とくに英語でプレゼンする場合によくありますが、「発音はこれでいいのかな…」「文法がまちがっていないかな…」と不安になると思います。
 安心してください。ちょっと発音がおかしくても、文法が間違っていても、それで審査に影響することはありません。
 むしろ、発音や文法を気にしすぎて、早口になったり声が小さくなったりすると審査に影響します。安心して間違ってくださいね。

・ポイント24: 内容語は強調し、機能語は強調しない。

 とくに英語プレゼンの場合は、抑揚や強調(Stress)があいまいだと話が伝わらなくなります。
 英語には、「内容語」(名詞・動詞・形容詞・副詞に代表されるような実質的な意味を持つ語)と、「機能語」(接続詞・冠詞・助動詞・前置詞・代名詞など主に文法機能を担う語のこと)の2種類があります。

 内容語にだけ強調(Stress)を置いて話すよう意識してみてください。
 そうすると審査員に話の流れが伝わりやすいですし、スムーズに緩急が取れたプレゼンができるので、自分自身驚くと思いますよ。

GTEメンター柏
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ちなみに、英語ヒアリングのときも内容語と機能語のちがいは超重要です。
内容語は聞き逃さない、でも機能語は聞き逃してもまあ OK と知っておくと、長文ヒアリングのときにとても役立ちますよ!


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プレゼンター
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