収支計画の作り方が分かりません!
売上、費用、利益ってどう決めればいいですか?
■ ビジネスプランの書き方基本7項目の全体像(親記事) (※ 項目名をタップするとリンク先が開きます)
1.問題(Problem)
このビジネスで解決したい問題は何ですか?
2.解決策となる製品やサービス(Solution)
その問題をどうやって解決するのでしょうか?
3.競合優位性(Competitive Advantages)
なぜ顧客は、競合製品ではなくあなたの製品やサービスを買わないといけないのですか?
4.顧客(Customer)
その製品やサービスにお金を払ってくれるのは誰ですか?
5.ターゲット市場(Target Market)
その製品やサービスは具体的にどんな市場をねらって売り込みますか?
6.ビジネスモデル(Business Model)
その製品やサービスはどんな販売方法、価格戦略、広告宣伝で販売しますか?
7.収支計画(Financial Plan)
年間の売上・コスト・利益はどの程度で、起業後どれくらいで利益がプラスになりますか?
(その他(Others))
基本7項目以外で、特定のコンテストによっては書くべきこと
ビジネスプランの質問でとても多いのが、収支計画の作り方です。このページでは、7つのステップに分けて収支計画の作り方を解説します。
※ 高校生向けに解説していますが、大学生、社会人のビジネスプランでもそのまま使えます。
収支計画についての相談がめちゃくちゃ多いため、この特集ページを作りました。
計算式がたくさん出てきますが数学知識は不要なので安心してくださいね。
数字の根拠を持つのはとても大事ですが、数字そのものはざっくりで OK ですよ!
(※ 目次をクリックすれば、どこからでも読めます)
ビジネスプランの収支計画(ファイナンシャルプラン) 7ステップの流れ
収支計画(ファイナンシャルプラン)を作るときは、下記7つのステップに分けると作りやすいです。以後、各ステップごとに詳しく解説します。
- 顧客数を算出する
- 顧客数を市場占有率で分ける
- 市場占有率で分けた顧客数を、さらに起業後数年ごとに分ける
- 年間売上を算出する
- 売上原価と売上総利益を算出する
- 営業経費と最終的な利益を算出する
- 資金調達の方法と金額を決める
Step 1. 顧客数を算出する
顧客数の算出方法
まずは、製品やサービスを買ってくれる顧客がどれだけいるかを算出します。
ここで大事なのは、顧客を具体的に特定することです。「男性」「高校生」「高齢者」のような漠然とした顧客イメージでは、リアルな顧客数はつかめません。それに、顧客イメージが漠然としていると、製品やサービスを顧客にどう売るのか説得力がなくなってしまいます。
私たちの顧客は、全世界 80 億人がターゲットです!
(…80 億人にどう売っていくんだろう?
「実現可能性」の審査スコアは低くなるなぁ…)
顧客イメージを具体化するときは、層別に分けて考えるとやりやすいです。
例えば、高校生をメインターゲットにする学習アプリのビジネスプランを考えてみましょう。一見、「日本の高校生 約 300 万人」を顧客数にしてしまいそうになります。
しかし、高校生全員がこのアプリを使うかと言えば、もちろんそうではありません。「本当に誰が買ってくれそうか?」具体化してみましょう。
- 例えばこのアプリが、使えば確かに成績が伸びるけれど、不明点を質問できる人はいないし、学修計画は自己管理が必要なら、「勉強意欲が高い(と想定できる)偏差値の高い高校生」でないと使いこなせないかもしれません(都市部なら私立高校、地方なら公立高校の高校生に多い)。
- また、すでに塾に通っている人にこのアプリは不要なので、「塾に通っていない高校生」がターゲットになるでしょう。
- さらに、広告宣伝を考えると、オンラインで広く薄く宣伝するのもよいですが、リアルな広報活動もミックスして宣伝する方が効率的です。それに大学進学率は地方よりも都市部の方が高いので、例えば「首都圏の高校生」をターゲットにした方がよさそうです。
こうやって、顧客を一つ一つの要素に分けて細分化していくと、具体的な顧客数を算出しやすくなります。これを顧客層別化(Customer segmentation)と言います。
下の図を見てください。(プログラミング的に言うと AND 条件で)どんどん具体的に絞り込まれ、ターゲット顧客が明確になっているのが分かると思います。
具体例
■ 高校生向け学習アプリの例
(1)まずはざっくり、高校生をターゲットにする。日本と海外では高校の学習内容も大学受験の方法もちがうので、日本の高校生をターゲットにする。文部科学省の学校基本調査の年次統計・統計表一覧によると、日本の高校生は約 300 万人。
(2)上記(1)をさらに「地域」で絞り込むと、大学進学率の高い首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)の高校生は、合計で約 80 万人。
(3)上記(2)をさらに「高校の区分」で絞り込むと、「首都圏であり、かつ、大学進学意欲の高い私立高校の高校生」は約 35 万人。
(4)上記(3)をさらに「塾の利用有無」で絞り込むと、「首都圏であり、かつ、私立高校であり、かつ、塾に通っていない高校生」は約 21 万人。これが、このビジネスプランの具体的なターゲット顧客数。
総務省統計局のページは、収支計画を作るときにすごく役立ちますよ!
ビジネスプランコンテストだけでなく、データサイエンス系のコンテストでも非常に使いやすいので、最初はとっつきづらいですがぜひ使いこなしてください。
Step 2. 顧客数を市場占有率で分ける
現実的な顧客数の算出方法
Step 1. で顧客数を算出しましたが、この全員が自社の商品を買うことはありえません。現実的には、同じ顧客層をねらっている競合企業、つまりライバルとの市場シェア争いになります。
私たちの製品やサービスをみんなが使ってくれます。
敵はいませんっ!!
(…んなワケないでしょ。
ライバルを調べてないとすると「競合優位性」の審査スコアも厳しいなぁ…)
同じ顧客層(市場)をねらうライバルがいる中で、自社の製品やサービスはどれだけ売れるのでしょうか。
その市場全体の年間総売上のなかで、自社の年間売上が占める割合を Share of Market(市場占有率。Market share, 市場シェアなどとも)と言います。
下記の計算式を使って、「自社が現実的にリーチできる顧客数」を算出できます。
自社が現実的にリーチできる顧客数
= 市場全体の顧客数 × 市場占有率(%)
一般的に、市場をほぼ独占した場合の市場占有率は 30% と言われています。
なので、30% を目安にするとよいでしょう。
具体例
■ 高校生向け学習アプリの例
「日本の AND 首都圏に住む AND 私立高校に通っている AND 塾を利用していない高校生」約 21 万人を、このビジネスプランのターゲット市場ととらえる。
この市場でトップを独占したいので、市場占有率は 30% と仮定すると、現実的にリーチ可能な顧客数は 210,000 万人 × 30% = 63,000 人。
Step 3. 市場占有率で分けた顧客数を、さらに起業後数年ごとに分ける
顧客数の伸びの考え方
Step 2. で市場占有率を考えましたが、起業していきなり高い市場シェアをとるのは、現実的にありえません。
起業後すぐは鳴かず飛ばず、1年がんばって少しずつ認知され、泥臭くつらい営業活動の末に3年目にようやく 5 %、でもその後は一気に認知され5年後に 30% 達成! …というのが、神がかって大成功したスタートアップのケースです。
(余談)つまり、9割方のスタートアップは市場占有率 1 % もいかないまま事業撤退というのが現実です…。 でも皆さんが作るのはビジネス「プラン」なので、夢のある計画にしましょうね!
収支計画を見てください。1年目から売上 100 億円が期待できます!
(…その心意気や良し。でも収支計画は段階的に見ていこうぜ!)
顧客数の伸び(つまり市場占有率の伸び)を考えるときは、ゴールから逆算して考えるのがオススメです。ゴールから逆算して考えれば、ゴール達成のために「いつまでに、何をするか」が明確になるからです。
逆に、「1年目はこう、2年目はこう」と積み上げ式で考えると、堅実ではありますが、いつ何をするかが不明瞭になりやすいです。また、野心的な目標を設定・達成しづらくなります。
ビジネスプランにとどまりまらず、何か目標を決めるときは「逆算思考」で考えてみましょう。
具体例
■ 高校生向け学習アプリの例
自社が現実的にリーチ可能な顧客数 約 63,000 人(市場シェア 30%)は、起業後5年目に達成できると仮定する。
そのために起業後4年目は、認知度を一気に加速させるためテレビ CM を打つ。
・4年目の市場シェアは 15% と想定するので顧客数は約 31,500 人。
そのために起業後3年目は、テレビ CM に必要な資金をベンチャーキャピタルから調達する。
・起業後3年目の市場シェア 10% と想定するので顧客数は約 21,000 人。
そのために起業後2年目は、首都圏だけでなく関西の都市部にも広告宣伝と販売を行う。
・起業後2年目の市場シェアは 5% と想定するので顧客数は約 10,500 人。
そのために起業後1年目は、ビラ配りや学校への営業訪問など、少ない資金で泥臭く広告宣伝を行う。
・起業後1年目の市場シェアは 1% と想定するので顧客数は約 2,100 人。
Step 4. 年間売上を算出する
収益の算出方法
Step 3. までで、具体的な顧客数が算出できました。Step 4. からは、顧客数をベースにして売上、費用、利益を明らかにしていきます。
収益(Revenue, Sales, Income とも。売上、売上高、収入とも言う)は、「自社が現実的にリーチできる顧客数」を基にして下記の計算式で算出します。
年間売上高
= 自社が現実的にリーチできる顧客数 × 販売単価 × 顧客1人あたり年間購入数
「販売単価(Sales price)」は、製品やサービス1つ当たりの価格です。価格パターンが複数あれば、パターンごとに分けて算出します(例えば、ベーシックモデル 500 円とプレミアムモデル 3,000 円があるなど)。
「顧客1人あたり年間購入数(Number of purchase per customer)」は、顧客1人が1年間でその製品やサービスを買う頻度です。
例えば、顧客 100人が、月額 500 円のアプリをサブスクリプションで毎月使うのであれば、「100 人 × 500 円 × 12 か月 = 600,000 円」が年間売上高になります。
単純な計算式ですが、手計算や電卓で計算するのは大変です。
Google の無料ツール Google Sheets か、もし使えれば Microsoft Excel といった表計算(スプレッドシート)ソフトウェアの利用をオススメします!
具体例
■ 高校生向け学習アプリの例
■ 前提として、
・学習アプリはサブスクリプションモデルで販売し、販売単価のパターンは、無料版、ベーシックプラン月額 500 円、プレミアムプラン月額 3,000 円の3つとする。
・顧客のうち 70% は無料版、20% はベーシックプラン、10% はプレミアムプランを使うとする。
・顧客1人あたりの平均利用期間は、年間 8 か月とする。
起業後1年目の顧客数は 2,100 人の想定なので、顧客のうち 70% の 1,470 人は無料版、顧客のうち 20% の 420 人はベーシックプラン、顧客のうち 10% の 210 人はプレミアムプランを使う。
(1,470 × 0) + (420 × 500 × 8) + (210 × 3,000 × 8) = 1年目の年間売上高 6,720,000 円
同様に、起業後2年目の顧客数は 10,500 人の想定なので、
(7,350 × 0) + (2,100 × 500 × 8) + (1,050 × 3,000 × 8) = 2年目の年間売上高 33,600,000 円
※ 起業後3年目以降も同様なので省略。
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Step 5. 売上原価と売上総利益を算出する
売上原価の算出方法
Step 4. で売上が分かりました。つづく Step 5 と 6 では、費用(コスト)を明らかにしていきます。
支出(Expense, Cost, 費用、経費、コストとも)は、大きく2つに分かれます。
1つは、売上原価(COGS: Cost of Goods Sold, Cost of Sales とも)です。売上原価とは、製品やサービスの販売に直接かかるコストのことを言います。売上原価は業種によってかなりちがうので、以下を参考にしてください。
- 製造業(メーカー)であれば、材料費や作業員の人件費、製造外注費などが売上原価として必要です。
なお、起業してすぐに自社工場を建てて作業員を雇って… とすると何千万円単位のお金がかかるので、最初は OEM(Original Equipment Manufacturing)受託事業者にアウトソーシングして作ってもらうとよいです。費用相場は、超ざっくりですが化粧品、食品、アパレルなどを参照。
- コンビニやレストランなどの小売業であれば、メーカーから商品を仕入れ(しいれ)るためのコストが必要です。
超ざっくりですが、コンビニやスーパーなどモノを売るのであれば販売単価の大体 70%、レストランや食品販売の食材であれば販売単価の大体 30% くらいを売上原価とすると考えやすいです。
- ソフトウェアサービス業であれば、製造や仕入れがなく売上原価がかからないことが多いです。ただし、別の会社からソフトウェアを仕入れて売る場合はかかります。
細かい話に入ってきたので、一度休憩してから続きを見てくださいね。
売上から売上原価を引いた金額を、売上総利益(Gross margin, 粗利益とも)と言います。また、会社の収益力を見るには、売上総利益率(Gross margin ratio)が一つの指標になります。
売上総利益
= 売上 - 売上原価
売上総利益率(%)
= 売上総利益 ÷ 売上 × 100
具体例
■ 高校生向け学習アプリの例
月額 3,000 円のプレミアムプランについては、サービスの一部に他社製のソフトウェアを使っているものとする。
そのソフトの仕入れ費用は、大体プレミアムプランの 50% だとする。
売上原価
1年目のプレミアムプランの顧客数 210 人 × (3,000 円 × 50%) × 8 か月 = 2,520,000 円
売上総利益 :
年間売上高 6,720,000 円 - 売上原価 2,520,000 円 = 4,200,000 円
売上総利益率:
売上総利益 4,200,000 円 ÷ 売上 6,720,000 円 × 100 = 62.5 %
Step 6. 営業経費と最終的な利益を算出する
営業経費の算出方法
費用のもう1つは、営業経費(OPEX: Operation Expenses)と言います。営業経費とは、製品やサービス販売に直接かからないコストのことを言います。
ビジネスプランによって千差万別ですが、ざっくりどれくらいの金額がかかるのかは、下記の表を参考にしてみてください。
営業経費 の種類 | 起業1年目という前提で、かつかなり乱暴な、 超ざっくり費用感 |
---|---|
家賃 | ・コンビニやレストランなど、店舗が必要なビジネス 100,000 円/月(人通りのあまりない場所や数坪の店舗) ~ 1,000,000 円/月(各駅しか止まらない駅の駅近店舗) ・上記以外 0 円/月(自宅ビジネス) ~ 100,000 円/月(創業仲間だけのマンションの一室) |
給料 | ・創業者への役員報酬 0 円/月(創業者は無給 24 時間勤務が基本です…!?) ~ 300,000 円/月(一般企業の新入社員くらいは) ・フルタイム社員への給料 300,000 円/月(専門性が必要でない業務を任せる場合) 500,000 円/月(営業や一般的な技術のエンジニアなど) 1,500,000 円/月(AI など希少技術のエンジニアなど) ・パートタイム社員やアルバイトへの給料 30,000 ~ 100,000 円/月 ・社会保険料(公的保険・年金費用) 上記の給料 20 % を単純に掛け算して算出 ※ 余談ですが、社会保険料はそれを払う人自身のためでも ありますが、ビジネスでこの支払いを通すことにより、 医療、福祉、教育などに直接貢献できます! |
広告 宣伝費 | ・ビラ配りやチラシのポスティング 10,000 円/月(チラシを持って、自分の足で宣伝する!) ・展示会などでのブース出展料 500,000 円/回 ・SNS 広告(X, Instagram)やネット広告(Google など) 100,000 円/月(広告を流すために最低限必要なコスト) ~ 1,000,000 円/月(早く認知を広げたい場合) ※ 色々なビジネスプランで「お金をかけず SNS で広める」 というビジネスプランが多いですが、甘すぎます。 実際にやってみると分かりますが、いちから始めてただ 投稿していても、ほんの数人にしか見てもらえません。 (経験者からの忠告です。100% 途中心が折れますよ…!) それでも1年単位で毎日投稿すれば届く人数は増えて いきますが、スピード命の起業では広告費をたくさん払う 方が効率的です。 |
販売 手数料 | ・楽天や Amazon などのオンラインショッピングモール での販売 売上の 25% 程度 ・リアルのショッピングモールや百貨店での販売 売上の 10 ~ 40% 程度 ・クレジットカード払いや電子決済で買ってもらうとき 販売単価の 5% 程度 ※ モールを通して売ると販売手数料がめちゃくちゃ高い のですが、起業したてでブランド力も何もないときに 自社サイトで売ろうとしても全く売れないので、 最初はお金をかけてでもモールなどで売るとよいです。 |
運送料 | ・1回の注文につきかかる配送料 500 円/回(書籍など小さくて軽いもの) ~ 3,000 円/回(家電など大きいもの) ・材料などの大量輸送にかかる配送料 国が決めた標準運賃が参考になります。 例えば北海道の材料を東京に 2t トラックで輸送依頼を すると、約 850 km なので、輸送費だけで 約 140,000 円かかります。 ※ 「廃棄食材を使って安くする」というビジネスプランを、 高校生だけでなく社会人でもよく見ますが、輸送費が 非常に高くつくので一般食材より高くなることが多いです。 地産地消にするなど小規模ビジネスであれば… |
サーバー 費用 | ・クラウドサーバー年間利用料 3,000 円/月(アクセスが少ないサービスの場合) ~ 100,000 円/月(それなりに複雑な オンラインサービスを提供する場合) |
設備費 | ・パソコン 200,000 円/台 ・レストランの内装工事費と什器(じゅうき、 机いす、鍋、コンロ、業務用冷凍庫など)一式 3,000,000 円/店 |
光熱費 | ・工場や店舗があるなど大きな電力が必要なビジネス 100,000 ~ 3,000,000 円/月 ・上記以外 10,000 円/月 |
諸経費 | ・交通費、宿泊費、印刷費、通信費、役所への印税など 色々あります。 バッファ(想定外の支出があった場合の予備費)も含めて 上記までの項目にかかったコスト全体の 10% ほどを 見積もるとよいです。 |
売上総利益から営業経費を引いた金額を、利益(Profit, Net income とも)と言います。また、会社の収益力を見るには、営業利益率(Profit ratio)がとても大事な指標になります。
利益
= 売上総利益 - 営業経費
営業利益率(%)
= 利益 ÷ 売上 × 100
なお、営業経費を引いた後には税金(Tax)の支払いが必要です。
これもざっくりですが、利益の 40 % くらいを見込むとよいでしょう。ただし、赤字(利益がマイナス)のときは法人住民税だけで済むので、起業したての小さな会社であれば 7 万円の支払いを見込むとよいです。
具体例
■ 高校生向け学習アプリの例
・給料
役員3人 × (月給 300,000 円 + 社会保険料 60,000 円) × 12 か月 = 12,960,000 円
・広告宣伝費
Instagram 広告 100,000 円 × 12 か月 = 1,200,000 円
ビラ配り 10,000 円 × 12 か月 = 120,000 円
・クラウドサーバー費
年間利用料 10,000 円 × 12 か月 = 120,000 円
・設備費
パソコンなど 200,000 円 × 3 台 = 600,000 円
・諸経費
上記費用合計の 10% : 1,500,000 円
営業経費合計: 16,500,000 円
利益 : 1年目の年間売上高 6,720,000 円 ー 営業経費 16,500,000 円 = - 9,780,000 円
営業利益率 : 利益がマイナスなので計測不能
税金 : 法人住民税 70,000 円
Step 7. 資金調達の方法と金額を決める
資金調達の考え方
Step. 6 の具体例で見た通り、利益がマイナスになることが、とくに起業1年目は多いです。
現金がなくなると会社は倒産してしまうので、利益がマイナスになったとしても現金はなくならないよう、資金調達(Fund-raising)をする必要があります。資金調達先は、下記の表を参考にしてください。
資金調達先 | 説明 |
---|---|
自己資金 | 自分が持っているお金を起業資金に充てます。 ポケットマネー、自腹、ということになりますが、 後腐れなくもっとも自由に使えるお金です。 ざっくり、3 百万以下 |
VC | VC (Venture Capital, スタートアップへの投資を 専門にしている会社)から、自社の株式などと 引き換えにお金を投資してもらいます。 VC は、投資した会社が上場したり、他の会社に売却 したりしたときに、持っていた株式を高く売ることで 利益を得ます。 ざっくり、1 千万円 ~ 1 億円 |
エンジェル | 個人からお金を投資してもらいます。 エンジェルは、過去に起業して成功した創業者などが 多いです。 ざっくり、1 千万円以下 |
クラウド ファン ディング | 何らかと引き換えに、大勢の人から少額ずつお金を 出してもらいます。 なお、資金集めに成功したときはクラウドファン ディングのプラットフォーマーに手数料を支払う 必要があります(達成金額の 15 ~ 20% 程度)。 ざっくり、5 百万円以下 |
行政の 補助金 | 政府から得られる補助金です。事務処理の負荷が重い、 利用目的が限定されるなどデメリットはありますが、 返済義務はありません。 ざっくり、1 百万円 ~ 1 千万円 |
3 F | Friends, Family, Fools の頭文字です。 身近な人にお金を出してもらうことですが、 トラブルになりやすいのでご注意ください。 ざっくり、3 百万円以下 |
銀行融資 | 銀行からお金を借ります。借りたお金は期限までに 返さないといけませんし、月々の利子もかかります。 法律上、ビジネスが失敗してお金がなくても、 何としても返さないといけません。 小規模な商売であれば堅実な資金調達先ですが、 失敗リスクの大きいスタートアップの場合は できるだけ避けるべき資金調達先です。 ざっくり、1 百万円 ~ 1 千万円 |
現実に投資を受けるのは非常に難しいですが、スタートアップのビジネスプランであれば、VC からお金を投資してもらう想定がよいと思います。
具体例
■ 高校生向け学習アプリの例
1年目の利益が - 9,780,000 円と大幅な赤字が見込まれ、また、2年目に必要な運転資金も考えると、15,000,000 円は資金調達が必要(2年目以降は売上が上がり利益はプラスになる想定)。
起業5年目に大手 IT 会社に自社を売却する想定で、VC から 15,000,000 円を投資してもらう。
さいごに
以上が、ビジネスプランで収支計画(ファイナンシャルプラン)を作るときの7ステップです。
金額は非常にざっくりとしたものですが、あくまでビジネスプラン、捕らぬ狸の皮算用なので、これくらいざっくりで問題ありません。
ただ、金額はざっくりでよいのですが、根拠は明確にしておくのが大事です! 金額を出すに至った要素、計算式、思考ロジックなどが、自分自身で整理できているかどうかでビジネスプランの説得力は変わります。
経験豊富な審査員が見れば、「根拠、ロジックが裏にある数字」と「そうでない数字」とは一発で区別できます。ぜひこのページを参考に、皆さん自身の収支計画を作ってみてください。
収支計画に限らず、シンプルな要素に分けて1つずつ積み重ねると分かりやすいですよ。「分ける」は「分かる」です!
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