ウェブサービス型のビジネスプラン例【高校生５人の実例で書き方を解説！】

Web サービスを使ったビジネスプランを考えています！
何か良い例や、気をつけるポイントってありますか？

・この後の Solution では具体的なサービスを書かれているので、ぜひ Problem の項目でも具体的に書いてみてください。
　例えば、ニキビの悩みとは見た目なのかケアにかかる時間なのか、10 代男女のニキビの悩みを持つ人はどれくらいいるのか、なぜこの問題を解決したいと思ったのか、などです。

・Problem はビジネスプランの出発点、基準となる超重要な項目です。基準があいまいだと他の項目すべてがブレてしまいます。

・１つ注意点です。初心者にありがちなのですが…　「色々な Problem に対してさまざまな Solution で解決しよう！」としようとしないでください。

・なぜかというと、色々な Problem を解決しようとすればやるべきことが多くなり、ひと月あたりに必要なお金（Burn rate と言います）がどんどん高くなっていきます。これが高くなると、せっかく起業しても倒産しやすくなったり資金調達が非常に難しくなったりします。
　また、１つのことを専業でやっているライバルがいると、そのライバル製品の質や価格の方が良いことが多く、ライバルとの競争で負けてしまう確率が高くなります。

・なので繰り返しになりますが、本当に解決したい深い Problem とは何なのかを具体的に絞り込んでくださいね。

・この Customer の書き方は具体的でとても良いですね！
　実際にこういう Problem で困っているんだな、というのが非常にイメージしやすいです。

・ごちゃ混ぜ感のある書き方になっていて、まず何の Problem を解決したいのかがあいまいになっていると思います。
　ぜひ優先順位づけをして、本当に解決したい Problem と Solution を明確にしてみてください。

・ただ、一人一人のニキビ写真や食事の写真をスタート地点にビジネスを考える、という発想が非常に面白いですね！　色々な可能性が考えられそうです。

・写真をスタート地点にした解決策については、あとの方でアドバイスしますね。

・１つのアイデアですが、写真以外の ＜ 機能一覧や機能概要 ＞ を見ると、ニキビ対策に特化した情報サイトが１つの解決策になるかもしれません。

・いわゆる「アフィリエイト（成果報酬型広告）ビジネス」なのですが、ニキビに効果がある化粧品や薬用品を紹介して、その商品を購入してもらえたら報酬が発生するというビジネスをウェブサイト上で行います。
　個々のニキビに合った洗顔方法、食事レシピ、生活習慣など、ニキビの悩みを解決する情報記事を大量に作成（数百記事）、このウェブサイトに記事をアップします。それぞれの記事から化粧品や薬用品を扱うサイトにリンクを張ります。記事を経由して商品が売れたら報酬をゲットできます。

・地味で非常に根気のいる Solution ですが、このようなウェブサービスであれば、
　　・大学で学ぶような専門技術がなくても
　　・自分たちで製品開発や販売を行わなくても
　　・手元のお金があまりなくても
すぐに起業できますよ！

・もちろんこの情報サイトだけでは大きなビジネスになりませんが、最初にとりかかるビジネスとしては実現可能性が高そうですよね？　この情報サイトでニキビに悩む人への集客力がついたら、次のステップとして、例えば自社ブランド製品の開発・販売などさらに大きなビジネスへの発展可能です。

・同時に複数のビジネスをするのはリスクが高いですが、ステップに分けてビジネスを拡大発展させるビジネスプランはアリです。ぜひ考えてみてください。

・写真だけで専門家に診てもらうのは、誤診のリスクが非常に高いです。
　写真を送るとしても大雑把なスクリーニングのためだけに利用して、「クリニックへの予約」をゴール地点にするアプリやウェブサービスにした方が良いでしょう。

・またもし、写真だけで徹底的に分析できることを目指すのなら、医療現場に使われるような高性能の AI 写真画像分析システムを開発しなければならないかもしれません。もしそうなら数億円単位の開発コストが必要で、価格を高くせざるを得ず価格競争力が落ちるかもしれません。

・正直、ここに書かれた内容１つ１つは、優位性をうたうにはかなり弱いです。
　むしろこれらをまとめて、「10 代男女のニキビの悩みに特化した情報サイトによる集客力」を優位性としてアピールしてみてはいかがでしょうか？

・現実の起業でも、ウェブサービスは「集客力」が最大の競合優位性になることが多いので、どうすれば集客力を徹底的に高められるのか？　ぜひ集客やウェブマーケティングについて学んでみてくださいね。

・１つ１つの項目をかなり考えて書かれたんだな、ということが伝わってきて、好印象です！

・ただ、売上の実現可能性が非常に厳しいと言わざるを得ないので、フィードバックとアドバイスを話していきますね。

・まず、現実的にはアプリの利用だけでお金を得るのは非常に厳しいです。
　「ニキビ　アプリ」で検索すれば似たようなサービスが色々出てきますが、無料で使える競合サービスがたくさんあります。

・ただのアプリではなく「写真を撮ればそれに合った化粧品や対処法が自動で出てくる」という高機能、高精度のアプリにするのであれば、もしかするとお金を払ってでも利用してくれるかもしれませんが、高精度の医療用画像診断を一般用のスマホアプリとして提供するには相当の開発費がかかるかもしれず、月 500 円では提供できない確率が高いです。
　また、医療機関で撮影したものではなく個人が撮影した写真では、分析での不確定要素が非常に多く、このサービスが提案した化粧品や対処法が合わないリスクが高いかもしれません。ざっくりとした傾向を見るだけなら安くできるかもしれませんが…

・今までにない革新的な製品を作るビジネスプランならともかく、一般的な製品をいきなり大量に制作したり、メーカーから調達したりするのは「売れ残りのリスク」が非常に高いです。

・このビジネスプランは、ニキビの悩みへの情報提供も大事にしているので、Solution で話したように最初はアフィリエイト（成果報酬型広告）ビジネスが良いかもしれません。
　アフィリエイトは、売上は小さいですが製品を製作したり調達したりするコストは不要です。また、売れ残りのリスクもありません。つまり、最終的な利益は確保できますし、最初から大きな資金調達も不要です。

・以下のツーステップのシナリオはいかがでしょうか？
　　１年目は、情報サイトを作成し情報提供とアフィリエイトで小さくビジネスを始める。目的は集客力向上、つまり多くの中高生がこのウェブサイトにアクセスすること。それとマーケティングデータ蓄積、つまり中高生がとくに悩んでいるものは何か、どんな化粧品が他より売れるのかデータを取ること。
　　２年目は、マーケティングデータを活かして自社で製品を製作または外部調達する。そして、集客力を生かして自社ウェブサイトで販売する。売上の約 30% を販売手数料としてとられるオンラインモールなどを通さないので、利益率を高くできます。

　この流れが理想的にいけば、Business Model の実現可能性が高まりますし、Financial Plan も堅実です。

・と、厳しい現実がありますが、このビジネスプランで一つ可能性を感じました。

・それは、Customer をニキビ治療専門クリニックに紹介し、Customer からではなくクリニックから紹介手数料をもらうという Business Model です。

・皮膚科で治る程度の軽症なら保険適用がされますが、美容整形外科などでないと治らない重症のニキビの治療費は非常に高いので、紹介手数料が数パーセントであっても結構な収入を期待できます。「ニキビ　クリニック」で検索すれば、治療費の目安を出しているクリニックがいくつかあるので見てみてください。

・それに、そんな治療費の高いクリニックにいきなり行くのって勇気がいりますよね？
　このビジネスは、記事情報を提供したり、写真を送ってもらったり、もしくはオンライン相談窓口をしたりして、クリニックに行くハードルを下げるところに価値を生めそうです。

・最初は小さく始めて、例えば福岡市のクリニックとだけ契約し Customer を紹介する。うまくいけば福岡県 ⇒ 九州 ⇒ 全国と広げることでビジネスを拡大できるかもしれません。

・ちょっと保険代理店のビジネスに近いですが、Web サービスは仲介や代理業の Business Model と相性がよいので、ぜひ検討してみてくださいね。
　ちなみに、時系列がちがうものを一つの図だけで表現すると訳が分からなくなるので、１年目と何年目以降とで図を分けると良いですよ。

・ターゲット市場を決めたら、必ず Customer の数がどれだけいるのか試算してください。

・ニキビについては調査データがたくさんあり、「ニキビ　悩み　調査」などで検索すれば、ニキビに悩む中高生の割合(1)が分かります。また、総務省統計局の学校基本調査のデータから、地域の中高生の数(2)が分かります。

・(1) と (2) を掛け合わせれば、Customer の数を試算できます。さらに、化粧品販売の単価(3)を掛け合わせれば、年間売上高を試算できるのでぜひ取り組んでください。

・Business Model 話した通り売上の根拠が弱いのと、費用のリスクが高いので、「どんな順番で何をやるのか」を明確にした上で Financial Plan を作り直してみてください。

・また、ショッピングモールや楽天などのオンラインモールで何かを売る場合、約 30% の販売手数料を払わないといけません。もしこうした販売チャネルを使う場合、それもコストに入れてください（例えば 4,000 円で化粧品が売れた場合、1,200 円をモールに支払う必要があります）。かなりの量を販売しないと利益が出ませんよ。

・それと実は、クラウドファンディングで資金調達がもしできた場合、クラウドファンディングの運営会社に集まった寄付金の約 20% を手数料として支払わないといけません。仮に 700 万円の寄付をもらった場合、140 万円の支払いが発生します。

・もうかるビジネスを起業できれば、Problem を継続的に解決できますし、税金をたくさん払えます。

・税金をたくさん払えれば、福祉、教育、環境などさまざまな社会課題に貢献できますよ。
　「お金儲けこそ最大の社会貢献」という一面があるので、ぜひチャレンジしてください！