顧客とターゲット市場の書き方を教えてください!
■ ビジネスプランの書き方基本7項目の全体像(親記事) (※ 項目名をタップするとリンク先が開きます)
1.問題(Problem)
このビジネスで解決したい問題は何ですか?
2.解決策となる製品やサービス(Solution)
その問題をどうやって解決するのでしょうか?
3.競合優位性(Competitive Advantages)
なぜ顧客は、競合製品ではなくあなたの製品やサービスを買わないといけないのですか?
4.顧客(Customer)
その製品やサービスにお金を払ってくれるのは誰ですか?
5.ターゲット市場(Target Market)
その製品やサービスは具体的にどんな市場をねらって売り込みますか?
6.ビジネスモデル(Business Model)
その製品やサービスはどんな販売方法、価格戦略、広告宣伝で販売しますか?
7.収支計画(Financial Plan)
年間の売上・コスト・利益はどの程度で、起業後どれくらいで利益がプラスになりますか?
(その他(Others))
基本7項目以外で、特定のコンテストによっては書くべきこと
(※ 目次をクリックすれば、どこからでも読めます)
顧客(Customer)の書き方
顧客は具体的な層に分ける
顧客(こきゃく、Customer)とは、製品やサービスにお金を払う人のことです。
顧客は、属性や生活スタイルなどで細分化して具体的に書くのが大事です。これを顧客層別化(Customer classification)と言います。
「高校生」や「女性」などのようにざっくりとした内容だと、「誰に、どうやって、製品やサービスを売るのか?」があいまいになってしまうので、必ず具体的に顧客を特定します。
■ Customer classification の例
例えば、「マクドナルドの顧客は誰か?」を考えると、老若男女どんな人でもあてはまるように見えます。しかし、テレビ CM などの宣伝広告を見れば、顧客を細分化してアピールしていることがよく分かります。
・ハッピーセットの CM であれば、「休日に来る、小さい子どもを持つファミリー層」
・サムライマックの CM であれば、「平日ランチタイムに来る、比較的若い社会人男性層」
・夜マックの CM であれば、「平日の夕食に来る、比較的若い社会人男女層」
誰もが知っているマクドナルドであっても、ターゲットを明確にして CM を流すくらい、それだけ顧客層別化(Customer classification)は大事です。
現実の起業では、「誰にでもウケそうな、色々な人が使えるサービス」というのは、無残なほど全く売れません(私自身が経験しています…)。必ず顧客を具体的に特定してください!
顧客とユーザーとを区別する
なお、製品やサービスによっては、実際に使う人と、お金を払う人が別々のこともよくあります。この場合、実際に使う人はユーザー(User)と言って顧客と区別します。
例えば、Google や YouTube を見る皆さんユーザーは無料ですが、そこに広告を出す企業が広告料を支払っています。また例えば、学習塾のユーザーである学生はお金を払っていませんが、保護者が塾にお金を支払っています。
無料のアプリや貧困層向けのサービスなど、一見ビジネスにならなそうでも別の顧客からお金を得られる場合があるので、ぜひ智恵を絞ってみてください。
ターゲット市場(Target Market)の書き方
ターゲット市場を絞り込む
ターゲット市場(Target Market)とは、ターゲットの顧客層が製品やサービスを取引する概念上の場のことです。難しい定義なので、またマクドナルドの例で説明します。
■ マクドナルドのターゲット市場の例
例えばマクドナルドのターゲット市場は、一番大きなまとまりで言うと「外食市場」です。
しかし外食市場では大きすぎるので、現実に製品やサービスを知ってもらい、売り込むために、より市場を絞り込んでいきます。
マクドナルドの場合は、「外食市場」の中の、「ファストフード市場」であり、さらにその中の「ハンバーガー市場」がターゲット市場となります。
この例のように、市場をどんどん絞り込み、「自分たちの製品やサービスを現実的に売り込む対象」を明確にするのが大事です。ビジネスプランの収支計画の作り方7ステップという記事を読めばより理解が深まるのでぜひご参照ください。
ターゲット市場と収支計画については本当に相談が多いので、ビジネスプランの収支計画の作り方7ステップの記事で詳しく解説しました!
市場が拡大するのか、それとも縮小するのかを予測する
これから起業するビジネスプランでは、ターゲット市場が将来的に「拡大・成長していくのか?」それとも「縮小・衰退していくのか?」はとても重要です。なぜなら、ターゲット市場の大きさがビジネスの規模をある程度決めてしまうからです。
■ 拡大する市場と縮小する市場の例
例えば、2024年の今からレンタルビデオ店を起業しても、レンタルビデオ市場はなくなりつつあるので、ビジネスは先細りになりそうです。
逆に、ウェブストリーミングサイトを起業しようとすれば、Netflix など手ごわい競合がたくさんいるとはいえ、市場全体が拡大しているのでビジネスが大きくなるチャンスも大きいです。
顧客とターゲット市場の具体例
DECA JAPAN ビジネスプランコンテストで優勝したチーム「Hair Manager」の、「髪を乾かす間も自由に行動できる帽子型ヘアドライヤー」のビジネスプランの例を見てみましょう(Forbes Japan に掲載されたニュース記事があります)。
■ 「Hair Manager」の例
問題 : 髪の毛を乾かす時間が長すぎるし、髪の毛が乾くまで何もできない。
解決策: 髪の毛を乾かす間に他のことができる、帽子型のハンズフリーのドライヤー「Hair Manager」を開発する。
ターゲット市場:
TAM (Total Available Market) 日本の女性 約 6,500 万人を、このビジネスがリーチできる全体市場として想定する。
SAM (Serviceable Available Market) 日本の女性全体のうち、30歳から44歳までの働く女性 約 900 万人を、実際に顧客としてアプローチできる市場として想定する。
TM (Target Market, または SOM: Serviceable Obtainable Market とも) 30歳から44歳までの働く女性全体のうち、髪型や美容に強い関心のある約 300 万人の顧客層を、最終的にこのビジネスで現実的にアプローチできるターゲット市場とする。
市場の拡大戦略 最初は日本市場だけでビジネスを展開するが、3年目からはインドネシアでもビジネスを開始する。インドネシアを想定した理由は、人口動態として働く若い女性人口が多く、また可処分所得も増大傾向にあり、市場の拡大が期待できるからである。
「Hair Manager」の例のポイントは、下記3点です。
- 顧客とターゲット市場を決めるとき、まずは必ず問題を明確にします。問題があいまいだとターゲット市場を絞り込めないからです。
- いきなりターゲット市場を明確化するのは難しいので、まずはざっくり全体を考えてから、TAM ⇒ SAM ⇒ TM の順番で絞り込んでいきます。TM (Target Market) まで明確にできたら、「誰に、どうやって、製品やサービスを知ってもらい、売り込むのか」が明確にできます!
- 市場の大きさは市場任せにするのではなく、自分たちで変えられます。「グローバル展開する」「顧客層を広げる」「製品を増やす」などで、ビジネスをより大きくする戦略を考えてみてください。
「4.顧客」「5.ターゲット市場」については以上です。ぜひ皆さんのビジネスプランに活かしてみてください。
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