立命館アジア太平洋大学（APU）一般選抜の入試方式と選び方（2025年度入試）

⇒　立命館アジア太平洋大学（APU）の総合型（AO）、帰国生、国際バカロレア（IB）の入試対策については、こちらをご参照ください。

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立命館アジア太平洋大学（APU: Ritsumeikan Asia Pacific University）は、2000 年４月に、立命館大学が大分県別府市に設置した大学です。

学生の半数は留学生、日英二言語教育、国際寮に希望者全員入寮、起業家教育（アントレプレナーシップ）、海外大学とのダブルディグリープログラムなどユニークな取り組みで知られています。

偏差値は 40.0～55.0（河合塾）と幅広く、一般選抜の定員合計 310 人と比較的多いため、将来のグローバルリーダーを目指す高校生にねらいやすい大学です。

しかし、志望する高校生は、英語がとても得意だったり大人顔負けの探究活動をしてきたりした人が非常に多く、偏差値以上に入試難易度も、大学生活の満足度も高い大学です。

この記事では、APU の一般入試について、APU の入試形式、入試問題の傾向と対策、どんな高校生が APU に合格するかなどについて徹底解説します。

※ データを令和７年度入試（2025年入試）に更新しました。
※ 編入転入学試験、外国人入試、社会人入試については割愛しております。
※ 本記事は筆者が独自に執筆しまとめたものです。正確な情報を得たい場合は必ず大学の公式情報をご確認ください。

（※ 目次をクリックすれば、どこからでも読めます）

APU の一般選抜　－入試形式の一覧と選び方－

立命館アジア太平洋大学（APU）の一般入試はとても種類が多いですが、選び方ガイドが公式サイトにありますのでぜひ参考にしてください。本記事では、APU の選び方ガイドを基に、さらに深掘りして攻略方法を解説します。

前期日程の入試形式

後期日程の入試形式

APU の一般選抜　－合格しやすい高校生とは－

APU の一般入試で合格しやすいのは、下記３タイプの高校生です。それぞれ、以下で詳細を説明します。

　タイプ１：　英語資格でハイスコアを取得している高校生

　タイプ２：　共通テストの「外国語」と「国語」でハイスコアを取れる高校生

　タイプ３：　英語資格でハイスコア、かつ、共通テストの「国語」でハイスコアを取れる高校生

タイプ１：英語資格でハイスコアを取得している高校生

APU の一般入試では、TOEFL iBT®や英検などの英語資格で基準以上のスコアを取得していると、下の表のとおり得点換算がされます。

　※ 有効期限があるのでご注意ください。令和７年度入試（2025 年 2, 3 月本試験）なら、2022 年 10 月以降のスコアが有効です。

共通テスト「外国語」の得点換算表

令和７年度入試（2025 年 2, 3 月本試験）から、一般選抜のすべての方式で英語外部資格試験のスコアが活用できるようになりました。

英語外部試験	100%	90%	75%	60%
TOEFL iBT®　※１	83	70	55	42
IELTS™ (Academic module)	6.5	6.0	5.0	4.5
TOEIC® (L&R/S&W)　※２	1700	1600	1340	1150
実用英語技能検定　※３	2450	2304	2142	1980
TEAP	342	318	267	225
TEAP CBT	698	600	508	420
GTEC 4技能　※４	1280	1215	1080	960
ケンブリッジ英検　※５	175	169	150	140
PTE Academic	72	60	50	42

※１．TOEFL iBT®は、TOEFL iBT® Home Editionも対象とします。Test Dateスコアに加え、MyBest® スコアでの出願も可能です。
※２．TOEIC®（ L&R/S&W） については、TOEIC® S&Wのスコアを2.5倍にして合算したスコアを示します。
※３．実用英語技能検定は、英検CBT、英検S-CBT、英検S-Interviewも含みます。また、受験の合否によらず、英検CSE2.0スコアに基づき換算します。
※４．GTECはオフィシャルスコアに限ります。
※５．ケンブリッジ英語検定は、リンガスキルも含みます。

APU の一般入試はすべての入試形式で併願可能です。英語資格のハイスコアを持っていれば複数の入試形式に同時出願することで合格のチャンスが飛躍的に増えます。

英検のスコア（英検 CSE (Common Scale for English) スコア）は、「英語重視方式」の得点換算表で言うと下記の通りです。

　　　100% 換算の 2450 は、英検準１級 上位合格レベルです。
　　　 90% 換算の 2304 は、英検準１級 合格スコアです。
　　　 75% 換算の 2142 は、英検２級　上位合格レベルです。
　　　 60% 換算の 1980 は、英検２級　合格スコアです。

英検準１級合格スコアである 2304 点がとれれば、一般選抜のすべての方式で英語が 90% 換算できるため、非常にオトクです。

正直なところ、TOEFL® や IELTS™ で同じ ％ のスコアを取ろうとすると、おそらく日本の学校教育ベースの勉強では歯が立たないと思います…　とくにライティングとスピーキングの難易度は、英検の数倍以上難しいので。

ちなみに、英検が不合格であってもスコアは使えますので、自分が持つ最高スコアの証明書を提出してください。

タイプ２：　共通テストの「外国語」と「国語」でハイスコアを取れる高校生

タイプ２は、とくに英語圏以外の外国のバックグラウンドを持ち、日本で育った高校生に有利です。

共通テストの外国語は「英語」以外に、「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」の計５か国語があります。また、英語以外は筆記のみでリスニングがありません。

共通テストの国語は、現代文以外に古典と漢文があり大変ですが、共通テストを使った複数の入試形式に同時出願することで合格のチャンスが飛躍的に増えます。

タイプ３：　英語資格でハイスコア、かつ、共通テストの「国語」でハイスコアを取れる高校生

最強です。共通テストに苦手意識を持っている高校生は多いと思いますが、出願できる入試形式が圧倒的に増えるのでぜひ受けてみてください。複数の入試形式に同時出願できるので、合格のチャンスが飛躍的に増えます。

どのタイプにもあてはまらない高校生はどうする？

出願できる入試形式が、実質的に「前期方式」と「後期方式」の２つに絞られるので、厳しい戦いになりそうです。

ただ、別の見方をすると、「前期方式」と「後期方式」に集中すれば、同じ状況の高校生同士での戦いです。であれば、どれだけ基礎を固められるか、どれだけ過去問をこなせたか、という受験の正攻法をやっていけばよいだけです。

なお、「前期方式」の試験内容は立命館大学の全学統一方式と同じです（ただし、漢文の独立問題は出題されない）。また同様に、「後期方式」の試験内容は立命館大学の後期分割方式と同じです。なので、立命館の過去問を赤本や大手予備校のウェブサービスなどで入手し、ぜひ試験内容に慣れておいてください。

APU の一般選抜　－定員と倍率、スケジュール－

定員と過去倍率

入試方式と定員	過去倍率
■　前期日程
前期方式「スタンダード３教科型」 合計 80 名（APS：35 名、APM：25 名、ST：20 名）	2024 年度入試データ ・定員 80 名 ・志願者数 464 名 ・合格者数 134 名 志願倍率（志願者数÷定員） 5.8 実質倍率（志願者数÷合格者数） 3.5
英語重視方式 合計 45 名（APS：20 名、APM：15 名、ST：10 名）	2024 年度入試データ ・定員 45 名 ・志願者数 242 名 ・合格者数 142 名 志願倍率（志願者数÷定員） 5.4 実質倍率（志願者数÷合格者数） 1.7
共通テスト併用方式 合計 45 名（APS：20 名、APM：15 名、ST 10 名）	2024 年度入試データ ・定員 45 名 ・志願者数 245 名 ・合格者数 129 名 志願倍率（志願者数÷定員） 5.4 実質倍率（志願者数÷合格者数） 1.9
共通テスト利用（前期）　７科目型、５科目型、３教科型 合計 110 名（APS：40 名、APM：35 名、ST：35 名）	2024 年度入試データ ・定員 95 名 ・志願者数 516 名 ・合格者数 330 名 志願倍率（志願者数÷定員） 5.4 実質倍率（志願者数÷合格者数） 1.6
■　後期日程
後期方式 合計 9 名（APS：3 名、APM：3 名、ST：3 名）	2024 年度入試データ ・定員 24 名 ・志願者数 219 名 ・合格者数 23 名 志願倍率（志願者数÷定員） 9.1 実質倍率（志願者数÷合格者数） 9.5
共通テスト＋面接方式 合計 6 名（APS：2 名、APM：2 名、ST：2 名）	2024 年度入試データ ・定員 6 名 ・志願者数 11 名 ・合格者数 6 名 志願倍率（志願者数÷定員） 1.8 実質倍率（志願者数÷合格者数） 1.8
共通テスト利用（後期）　５科目型、４科目型、３教科型 合計 15 名（APS：5 名、APM：5 名、ST：5 名）	2024 年度入試データ ・定員 15 名 ・志願者数 79 名 ・合格者数 34 名 志願倍率（志願者数÷定員） 5.3 実質倍率（志願者数÷合格者数） 2.3

過去の 2024 年度の実質倍率を見ると、やはり「英語重視型」と「共通テスト利用型」「併用型」が有利なことがよくわかると思います。どれも英語外部試験のハイスコアが効果てきめんだと実感できます。

いえ、まだあきらめるには早いです！

前期方式「スタンダード３教科型」は４日程で受験可能ですし、「後期方式」もあります。

意外なねらい目は実質倍率 1.9 の「共通テスト併用方式」ではないでしょうか。共通テスト併用方式は、APU 独自試験の英語と国語（現代文）に加えて、共通テストでもっとも高得点の１科目の３科目で受験できます。他の方式はどれも共通テスト「外国語」が必須ですが、「共通テスト併用方式」のみ、どの科目でも OK です。

スケジュール

APU の一般入試は、受験チャンスが多いことが特徴です。

下の表は、入試方式ごとの試験日程です。日程が複数ある入試方式は、試験日を変えれば何度でも受験可能です。

• 「前期方式」は試験日を変えて最大４回、「共通テスト併用方式」は最大２回の受験が可能です（同一試験日の併願はできません）。
• 「後期方式」は１回だけですが、１回の受験で複数学部を出願できます。
• 「共通テスト方式」は、それぞれの科目型で併願できます。また、複数学部を併願できます。

入試方式	2/1(土)	2/2(日)	2/3(月)	2/4(火)	2/7(金)	2/8(土)	2/9(日)	3/7(金)
前期方式	〇	〇	〇	〇
英語重視方式					〇
共テ併用方式						〇	〇
後期方式								〇

※１　共通テスト利用方式は、出願のみで試験はありません。

「どうしても APU に入りたい！」という受験生は、活用できるチャンスは最大限に生かすとよいでしょう（ただし、受験費用がかさむので保護者の方とよく話し合ってスケジュールを決めてくださいね）。

入試方式	出願期限	本試験日	合格発表日
■ 前期日程
前期方式	2025/1/22	2025/2/1 から 4 までの 4 日間	2025/2/17
英語重視方式	2025/1/26	2025/2/7	2025/2/20
共通テスト併用方式	2025/1/26	2025/2/8 と 9 の 2 日間	2025/2/20
共通テスト利用方式（前期）	2025/1/17	なし	2025/3/17
■ 後期日程
後期方式	2025/2/26	2025/3/7	2025/3/17
共通テスト ＋ 面接方式	2025/2/26	なし（録画面接）	2025/3/17
共通テスト利用方式（後期）	2025/3/1	なし	2025/3/17

APU の一般選抜　－オススメの併願先－

・APU に似た国際的な環境で学べる大学か
・APU の出題傾向と似ている大学か
・APU と偏差値対が似ている大学か

APU に似た国際的な環境で学べる大学か

併願先の選択基準の１つ目は、「APU に似た国際的な環境で学べる大学か」を基準にする方法です。授業がすべて英語で行われ留学生が非常に多い国際教養大学が筆頭に挙げられるでしょう（国際教養大学の攻略記事についてはこちら）。

また、留学生が多く国際寮がある福井大学 国際地域学部や、同じく留学生が多い沖縄の琉球大学や名桜大学も選択肢の一つになるかもしれません。

APU の出題傾向と似ている大学か

２つ目は、試験問題が「APU の出題傾向と似ているか」を基準にする方法です。例えば、立命館大学の試験問題は APU と同一なので、APU と併願しやすい大学と言えます。また、共通テスト利用方式は、APU にも立命館大学にも両方併願可能です。

一方で、出題傾向という点で国際教養大学は、「英語」は５ページ前後にわたる英語超長文を読んだうえで英単語 300 words 以上の自由英作文（Essay writing）、国語の問題は実質的に「国語 ＋ 小論文」であり、APU とは出題傾向がまったく異なります（国際教養大学の攻略記事はこちら）。

APU と偏差値帯が似ている大学か

３つ目は、「偏差値帯が似ているか」を基準にする方法です。APU の偏差値は 40.0（サステナビリティ観光学部） – 55.0（アジア太平洋学部）と非常に幅がありますが、APU のある九州だと西南学院大学など、関西だと関西学院大学など、関東だと獨協大学などが併願先にあげられるようです。

また、これらの大学は、APU と同じく英語資格スコアが得点換算されます。英語資格が得点換算されるかどうかという基準を入れてもよいでしょう。「英語資格　受験　得点換算」などのワードで検索すれば、英語資格が生かせる大学が分かりますよ。

⇒　立命館アジア太平洋大学（APU）の科目、配点、合格最低点はこちら
⇒　立命館アジア太平洋大学（APU）の過去問の傾向と対策はこちら