問題と解決策の書き方を教えてください!
■ ビジネスプランの書き方基本7項目の全体像(親記事)(※ 項目名をタップするとリンク先が開きます)
1.問題(Problem)
このビジネスで解決したい問題は何ですか?
2.解決策となる製品やサービス(Solution)
その問題をどうやって解決するのでしょうか?
3.競合優位性(Competitive Advantages)
なぜ顧客は、競合製品ではなくあなたの製品やサービスを買わないといけないのですか?
4.顧客(Customer)
その製品やサービスにお金を払ってくれるのは誰ですか?
5.ターゲット市場(Target Market)
その製品やサービスは具体的にどんな市場をねらって売り込みますか?
6.ビジネスモデル(Business Model)
その製品やサービスはどんな販売方法、価格戦略、広告宣伝で販売しますか?
7.収支計画(Financial Plan)
年間の売上・コスト・利益はどの程度で、起業後どれくらいで利益がプラスになりますか?
(その他(Others))
基本7項目以外で、特定のコンテストによっては書くべきこと
(※ 目次をクリックすれば、どこからでも読めます)
問題(Problem)の書き方
「お金を払ってでも、今すぐ解決したい苦しみ」を見つける
ビジネスの文脈では、問題(Problem)とは「お金を払ってでも、今すぐ解決したい苦しみ」と言えます。
問題の中でもとくに強い問題を痛み(Pain)と呼び、Pain をいかに解決できるかが起業の成功/失敗に大きく影響します。
■ Problem の例
例えば、高校生にとっては「試験の成績が下がった」という問題は Pain になりうるので、「塾」という解決策にお金を払う理由になりそうです。
しかし、例えば「学校に持って行く教科書が重い」という問題は、確かに大きなストレスではありますが「月々 980 円を払えば代わりに教科書を持って行きますよ」と言われると、ためらってしまう高校生は多いかもしれません。
「面倒くさいしストレスだけど、お金を払うまでもない」
「あればいいけど、今すぐ必要ではない」
という問題に取り組むと、期待したより売れないので注意です!
どうやって強い問題を見つけるのか?
では、どうすれば問題(お金を払ってでも、今すぐ解決したい苦しみ)を見つけるのでしょうか?
もっとも有効な手段は、「こういう問題を持っているだろう」と思われる人に話を聞くことです。これを顧客ヒアリング(Customer interviews)と言います。
※ 顧客(こきゃく): 製品やサービスをお金を出して買う人や組織のこと
他によく使われる手段としてアンケートがありますが、アンケートだけでは本当にその問題が強いのかは分かりません。というのは、アンケートでは「相手との質疑応答を通して問題を深掘りする」ことができないからです(ちなみに、マーケティング用語で Depth interview と言います)。
私も、何度もカスタマーインタビューをしましたが期待を裏切られることが多かったです。「Problem だと思ったのにぜんぜん困っていない」「困っているけどお金を払うまでもない」と、肩透かしをくらうことが多くて…
でも、ビジネスプランを作り終わった後で「このサービス、ぜんぜん求められてなかった!」と分かるよりマシですよ。ぜひ、最初のうちから Customer interviews に取り組んでくださいね。
起業、ビジネスプランでは、「どんな問題を解決したいか決める」ことがスタート地点です!
問題があいまいだと、残り6項目すべてがあいまいになり、審査員や投資家から評価されません。ぜひ顧客ヒアリングを積み重ねて問題を具体化してみてください。
解決策(Solution)の書き方
問題と解決策とをフィットさせる
問題を解決するための製品やサービスを解決策(Solution)と言います。
※ 製品(Product) : 機械装置や薬品のような形あるモノ
※ サービス(Service): 学習塾のような無形の価値を提供するもの(ただし、ソフトウェアサービスは Product と言うことが多い)
解決策は、必ず問題とフィットする(整合性が合う)ように書くのが大事です。シリコンバレーなどスタートアップ界隈ではよく Problem-Solution Fit (PSF) と言い、投資家が真っ先にチェックします。なぜなら、問題と解決策がフィットしていないと、「なぜその製品やサービスが必要なのか?」が顧客に伝わらず、売れないからです。
■ Solution の例
例えば、「試験の成績が下がった」という問題への解決策が「短期集中でスコアを上げる苦手対策講座」であれば、顧客が今すぐお金を払いたくなる解決策になりそうです。
しかし、解決策が「やる気を上げるカウンセリング」だと、少しずれているかもしれません。悪くはないのですが問題と解決策が直接フィットしていないので、本当に今その解決策が必要なのか顧客が理解しづらいからです。
Problem-Solution Fit (PSF) ができていないと、私の経験上も、無残なほどまったく売れません! 何をやりたいのか審査員にも伝わりづらいので、PSF ができているかを常にチェックしてください。
解決策の具体的な機能、使い方、テクノロジーなどをイメージさせる
解決策が問題とフィットしていることを説明したら、そのあとで、具体的な製品やサービスの機能や使い方、テクノロジーなどを説明します。1枚のスライドだとゴチャゴチャして伝わりにくければ、複数のスライドに分けるとよいでしょう。
例えば、アプリの画面イメージや使い方、薬品の効果や用法、機械装置をどういう工程で使うのかなど、その製品やサービスのユーザーが実際に使っているイメージをまとめるとよいです。文章だけでなく、写真、イラスト、手書きの絵、動画、テクノロジーの技術説明、はたまた寸劇など、分かりやすく伝えてください。
問題と解決策の改善例(Before-After)
例1: 問題と解決策が合っていない場合の改善例
Problem-Solution Fit (FIT) は本当に大事なので、いくつか実際の改善例を見てみましょう。
例えば、GTE ビジネスプラン・グランプリの英語部門で最優秀賞となった「ROCRAYONS」の例を見てください。
メンターからのアドバイス前(書類審査の段階)
問題 : 乳幼児はものをつかむ力が弱く、クレヨンを持ちづらい。
解決策: つかむ力が弱くても持ちやすい、オシャレな色合いのクレヨンを開発・販売する。
メンターからのアドバイス後(決勝)
問題 : 発達障害のある子どもには、ものをつかむ力が弱かったり色覚の過敏性があったりして文字や絵を描くことが困難な子どもがいる。その困難さが不登校や問題行動につながることがある。
解決策: つかむ力が弱くてもはっきりした文字や絵が描け、感覚過敏性に配慮した色合いのクレヨンを開発・販売する。
決勝のときの方が、問題がより具体的に特定されており、またその問題をうまく解決できる製品になっているのが分かると思います。
決勝のときの動画がありますので、こちらもご参考にしてみてください(※ 音声が流れます)。
例2: どんな問題を解決するのかよくわからない場合の改善例
また、問題と解決策について、もう一つ注意点があります。製品やサービスは、必ず「問題を特定したあと」に考えるようにします。問題を具体化する前に製品やサービスを考えてしまうと、誰も困っていない問題に取り組んでしまうことがあるからです。
例えば、GTE ビジネスプラン・グランプリ日本語部門のファイナリスト「C-OD 錠」の改善例を見てください。
メンターからのアドバイス前(書類審査の段階)
解決策: 口に入れると溶けるラムネ菓子状の栄養食品を開発・販売する。
問題 : 栄養食品は飲みにくいものが多い。
メンターからのアドバイス後(決勝)
問題 : 飲み込む力が弱った高齢者は、飲食時に誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)のリスクがある。
解決策: 飲み込む力が弱った高齢者でも飲めるラムネ菓子状の栄養食品を開発・販売する。
書類審査の段階では、解決策を先に考えてしまったため問題が弱く、また誰の問題なのかはっきりしていませんでした。アドバイス後の決勝では「誰の、どんな問題を、どう解決するのか」が明確になっていると思います。
決勝のときの動画がありますので、こちらもご参考にしてみてください(※ 音声が流れます)。
「1.問題」と「2.解決策」は以上です。さいごに繰り返しですが、起業、ビジネスプランでは「どんな問題を解決したいのか決める」ことがスタート地点です。「強い痛みのある問題をどれだけ具体的に特定できるか?」をぜひ考え抜いてくださいね。
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