海外大学に留学できる国内大学を受験したいです!
でも留学制度が複雑で、ほんとうに留学できるのかよく分かりません…
留学ってものすごくお金がかかるんでしょう? それに留学すると卒業が遅れるって言うし…
2022年頃から始まった円安傾向で、海外留学にかかる費用が高くなっています。そのため、「国内大学を受験して、国内大学から海外大学へ留学したい!」という要望が多くなってきました。このページでは、国内大学から海外大学へ留学するときの留学制度のちがいを解説します。
(※ 目次をクリックすれば、どこからでも読めます)
留学制度のちがいの一覧表
国内大学から海外大学への正式な留学制度には、「交換留学(派遣留学)」「ダブル・ディグリープログラム」「認定留学」などがあります。
また、留学制度ではありませんが海外現地で学べるプログラムとして、「語学研修(語学留学)」「海外フィールドワーク」などがあります。さらに、留学制度ではない留学として「私費留学」などがあります。
それぞれのちがいを下表まとめました。以降の章で、それぞれについて詳しく解説します。
留学の種類 | 留学先 | 授業料 | 単位認定 | 滞在期間 | 留学の手続きと学内選考 |
---|---|---|---|---|---|
交換留学(派遣留学) ★オススメ! | 所属元の大学や学部などが協定を結んでいる海外大学 | 留学先大学の授業料は免除の場合が多い(奨学金のチャンスもある) 所属元大学の授業料は払う | 認定されることが多い | 3か月~1年以内が多い | 手続きは所属元大学が行う 学内選考で語学力、GPA(成績)、志望理由などの条件をクリアする必要あり |
ダブルディグリープログラム ★オススメ! | 所属元の大学や学部などが協定を結んでいる海外大学 | 留学先大学の授業料は免除の場合が多い(奨学金のチャンスもある) 所属元大学の授業料は払う | 認定されることが多い(2つの学位が得られる) | 2年が多い | 手続きは所属元大学が行う 学内選考で語学力、GPA(成績)、志望理由などの条件をクリアする必要あり |
認定留学 | 学生個人が自分の意志で選んだ海外大学 | 留学先大学にも所属元大学にも、二重で授業業を払う(休学すれば不要) | 不確実 | さまざま | 手続きは自分で行う |
語学研修(語学留学) | 語学学校 | 留学先の語学学校にも所属元大学にも、二重で授業業を払う(休学すれば不要) | 所属元大学主催の場合は認められることが多い | さまざま | さまざま |
海外フィー ルドワーク | さまざま | 所属元大学にだけ払う | 所属元大学主催の場合は認められることが多い | さまざま | 手続きは所属元大学が行う |
私費留学 | 学生個人が自分の意志で選んだ海外大学 | 留学先大学にも所属元大学にも、二重で授業業を払う(休学すれば不要) | 認定されない | さまざま | 手続きは自分で行う |
この留学制度の説明は、あくまで一般的なものです。
大学によって扱いが本当にさまざまなので、
行きたい大学の留学情報は皆さんご自身でチェックしてください!
例えば、同じ「交換留学」という名前でも、留学先大学の授業料は免除されなかったり、免除されるのは所属元大学の方であるなど、大学によって定義はバラバラです。
大事なので2度言いますが、必ずその大学の留学情報をご自身でチェックしてください!
交換留学(派遣留学)
★ 一番オススメの留学制度です! ★
交換留学(派遣留学)とは、所属元の国内大学が「学生交換協定」を結んでいる海外大学へ留学する留学制度です。交換留学(派遣留学)は、学内選考に通ることができさえすればもっともオススメの留学制度と言えるでしょう。
しかし、具体的にどの海外大学へ留学できるかは、所属元の大学または学部などによってバラバラです。世界中の何百という名門大学と協定を結んでいる大学もあれば、まったく協定校がなかったり、あってもわずかで地域も限られ歴史の浅い大学しか協定校がない大学もあります。
さまざまなメリットがある交換留学(派遣留学)が充実しているのは、やはり歴史ある名門大学。国内でもっとも交換留学の協定校が多いのは早稲田大学で、1年間の交換留学について協定している海外大学が 400 を超えます。
交換留学(派遣留学)のメリット
- 留学先の海外大学の授業料が免除されることが多い
- さまざまな奨学金の対象になる
- 留学先の海外大学の単位が認定されることが多い(留年せずに卒業しやすい)
- 留学手続きは所属元大学がやってくれる
- 将来、海外の大学院を視野に入れたときに大学院留学をしやすくなる
交換留学(派遣留学)は、メリットがとても多い留学制度です。とりわけ費用面のメリットが大きく、海外、とくにアメリカやイギリスの大学の授業料は非常に高いのですが(私立大学の平均的な年間授業料は 500 万円を超えます)、その授業料が免除されるのは非常にありがたいでしょう。
また、授業料以外にも生活費、寮費、渡航費などにもお金がかかりますが、さまざまな奨学金をねらえるチャンスもあります。さらに、留学先の海外大学の単位が認定されることが多いので、留年せずに4年間で卒業しやすいです。
ただし、交換留学(派遣留学)での授業料や単位の扱いは、大学によって本当にバラバラです。大事なので何度も言いますが、必ずその大学の留学情報をご自身でチェックしてください。
留学に興味のある方は、国際機関への就職が気になる人がいると思います。
ですが国際機関の就職は修士卒(マスター)が必須。
交換留学を経験すれば、「大学は国内だけど大学院は海外!」という選択肢が現実的になってきますよ。
交換留学(派遣留学)のデメリット
- 学内選考に通らないと留学できない
- 学内選考のハードルが高い(語学力、成績、志望理由など)
- 給付型の奨学金がとれなかった場合は自腹か学生ローンが必要
- 所属元の大学によっては留学先や期間の選択肢が少ない
交換留学(派遣留学)の一番の難しさは、学内選考に通りづらいことに尽きます。
まず、協定先大学が求める語学力をクリアしないといけません。協定先大学によって異なりますが、一般的な英語圏の大学であれば、英検準一級より難しい TOEFL iBT® 72 以上や IELTS 6.0 以上が最低ハードルになることが多いです(アジア圏の大学など非英語圏ならハードルが低くなることもあります)。
なお、留学先によっては英語だけでなく、フランス語、スペイン語、中国語、韓国語などの言語力が求められることがあります。
次に、所属元大学の学業成績(GPA)が一定以上ないといけません。さらに、志望理由書を元に学内で面接を行い、交換留学生としてふさわしいのは他の学生ではなく自分だとアピールする必要があります。その上、給付型の奨学金がとれなかった場合は、自腹か、貸与型の奨学金(つまりは学生ローン)が必要になります。
気になる大学があれば、ぜひ以下をチェックしてみてくださいね!
- 協定校の数
- 協定校の国・地域
- 授業料が免除または減額されるか
- 留学用の奨学金が使えるか
- どのくらいの期間留学できるか
- 学内選考のハードルはどの程度か など
交換留学(派遣留学)でオススメの国内大学
留学が必須となっている大学であれば、選考で漏れることはありません。以下に、オススメの国内大学を一部抜粋します。
ただし、留学必須となっていても名門大学に行けるのはやはり一握りの学生です。ぜひ大学に入ったあとも勉学に励みましょう!
大学名 | 設立 | 留学情報ページへのリンク |
---|---|---|
国際教養大学 | 公立 | 国際教養大学 1年間の留学義務 |
千葉大学 国際教養学部 | 国立 | 千葉大学 グローバル |
早稲田大学 国際教養学部 | 私立 | 国際教養学部 学部概要・特色 |
東洋大学 国際学部 グローバル・ イノベーション学科 | 私立 | 海外留学を 希望する方へ |
静岡大学 グローバル共創科学部 | 国立 | グローバル共創科学部 海外留学 |
岐阜大学 地域科学部 国際教養コース | 国立 | 岐阜大学グローカル 推進機構 |
広島大学 総合科学部 国際共創学科 | 国立 | 国際共創学科 留学 |
山口大学 国際総合科学部 | 国立 | 国際総合科学部 |
九州大学 共創学部 | 国立 | 共創学部 留学情報・体験記 |
北九州市立大学 | 公立 | 留学(派遣留学) |
長崎大学 多文化社会学部 オランダ特別コース | 国立 | オランダ特別コース |
ちょっと愚痴なんですが…
どの大学も、留学情報がめちゃくちゃ探しづらい!
でも貴重な情報の宝庫なので、ぜひ上のリンクから情報をゲットしてくださいね。
ダブル・ディグリープログラム
★ ごく少数の大学にしかありませんが、オススメの留学制度です! ★
ダブル・ディグリープログラムとは、国内大学と協定を結んでいる海外大学との両方に在籍し、おおよそ1~2年間前後ずつ学んで国内・海外2つの学位を同時に取得する留学制度です。
ダブル・ディグリープログラムに申し込める大学はわずかですが、国内・海外2つの学位を取得できる価値は計り知れません。ただしその分、選考のハードルは交換留学以上に高いです。また、学業のしんどさも二重にかかってきます。
ダブル・ディグリープログラムのメリット
- 国内・海外2つの学位を同時に取得できる
- 1年半~2年間の長期にわたって留学できる
ダブル・ディグリープログラムのデメリット
- 学内選考のハードルが、交換留学以上に高い(語学力、成績、志望理由など)
- 単位取得のための勉強が大変
- 両方の大学の授業料が必要なことがある
- 修士課程や博士課程にしか制度がないことが多い
ダブル・ディグリープログラムでオススメの国内大学
大学名 | 設立 | ダブル・ディグリー プログラムの ページへのリンク |
---|---|---|
慶應義塾大学 | 私立 | ダブルディグリー プログラム |
立命館大学 グローバル教養学部 | 私立 | デュアル・ ディグリー・プログラム |
関西大学 国際学部 | 私立 | ダブルディグリー 留学制度 |
立命館アジア 太平洋大学(APU) | 私立 | APU Off-campus Programs |
認定留学
認定留学とは、大学とは別に学生個人が自ら手続きをして海外大学へ留学し、帰国後、その海外大学で得た単位を所属元大学の単位として認めてもらう留学制度です。
認定留学は、大学ごとの扱いのちがいが非常に大きいです。認められる海外大学が指定されていたり指定されていなかったり、単位が認められたり認められなかったり、手続きの全部を学生個人がしたり一部は所属元大学がしたり… 非常に不確定要素の大きい留学制度と言えるでしょう。
学生個人が留学手続きをするとはいえ、必ず所属元大学に内容を一つ一つ確認しながら手続きを進めることをオススメします。でないと、留学先の単位がまったく認めてもらえなかった… ということにもなりかねません。
認定留学のメリット
- 自分で留学先を選べることが多い
- 留学先の海外大学の単位が認定されることが多い(留年せずに卒業しやすい)
認定留学のデメリット
- 所属元大学と留学先大学との両方に授業料を払う必要がある
- 手続きに誤認があると、留学先の海外大学の単位が認定されないことがある
- 自分で留学の手続きをする必要がある
語学研修(語学留学)
語学研修(語学留学)とは、語学力向上を目的として、海外の語学学校または海外大学の語学プログラムにおおよそ2週間~1か月程度参加することです。しかしこれも、呼び名とやり方はバラバラなので注意が必要です。
大学の正規の留学制度としては、「語学研修」「海外研修」「短期研修」など、研修という言葉がついていることが多く、学んだことは単位として認められることが多いです。ただし、奨学金が使える場合があるとはいえ、費用は学生個人の負担になることが多いのでご注意ください(30~100万円ほど)。
大学ではなく留学エージェントが主催する「語学留学」は、大学の留学制度とはまったく別モノです。学んだことは単位としては認められず、費用も学生個人の負担です。
すみません、これは個人的な極論ですが… 語学研修に参加する場合は、「現地でしかできない体験や交流があること」と「授業だけに頼るのではなく自主的に語学を学び続けること」をしないと、費用の割には語学力向上につながらないことが多いように思います。
必ず、語学研修の内容を自分で確かめて、またそれに参加した先輩の声を参考にしてみてくださいね!
語学研修(語学留学)のメリット
- 海外の現地に行って語学を学べる
- ホストファミリーや現地の学生との交流ができることが多い
語学研修(語学留学)のデメリット
- 費用が非常に高い(30~100万円ほど)
- 語学学校の授業のレベルが低いと、あまり語学が向上しない
- 日本人同士で行動するとあまり語学が向上しない
- 語学の授業以外でも自主的に勉強しないとあまり語学が向上しない
海外フィールドワーク
海外フィールドワークとは、海外に行き現地調査や研究をするプログラムです。また、少し似たプログラムとして、海外の大学や研究機関などで仕事体験をする海外インターンなどがあります。
海外フィールドワークは、2年次後学期や3年次頃に行われることが多いです。これまでに学んだことを基に、海外に実際に行き、自分の目で調査や研究することは、とても貴重で得難い学びになるでしょう。
反面、海外フィールドワークが、ただの観光や語学学習に終わってはもったいないです。参加するのであれば、1か月程度以上かけて調査・研究をするプログラムがオススメです。
海外フィールドワークのメリット
- これまで座学で学んできたことを、実際に自分の目と手で体験できる
- 自分が興味ある学問や研究を深められる
- 調査や研究と同時に、語学力向上や国際交流もできる
海外フィールドワークのデメリット
- 期間が短かったり、目的意識があいまいだと、観光 + α 程度で終わる
- 費用が高額になりがち
海外フィールドワークでオススメの大学
大学名 | 設立 | 留学情報ページへのリンク |
---|---|---|
帯広畜産大学 | 国立 | 学部教育 教育プログラム |
秋田大学 国際資源学部 | 国立 | 海外資源フィールドワーク |
群馬県立女子大学 | 公立 | 留学・学生生活 |
神戸大学 国際人間科学部 | 国立 | 国際人間科学部 グローバル教育 |
西南学院大学 | 私立 | 留学・国際交流プログラム |
私費留学
私費留学とは、大学ではなく学生個人が自ら手続きをして海外大学や語学学校へ留学することです。
多くの場合、私費留学をしたときの単位は認められないことが多いですが、これも大学によりバラバラです。実際には協定があり単位が認められる大学への留学だけれど、授業料免除がない場合に「私費留学」という大学も多いです。
また、私費留学をするときに所属元大学を休学すれば、所属元大学の授業料を払う必要はありません。代わりに、単位が取れないため4年で卒業するのは非常に難しくなります。一方で、所属元大学を休学しない場合は、留学先の大学だけではなく所属元大学の授業料も払う必要があります。しかし単位として認められることはあまりないため、休学しない場合も4年で卒業するのは難しいことが多いでしょう。
いずれにせよ、留学をする場合は必ず各大学の留学制度をチェックすることが大事です。
私費留学のメリット
- 自分が興味ある海外大学・学部に留学できる可能性がある
- 期間の制約なく留学できる
私費留学のデメリット
- 授業料や生活費、渡航費、保険費用など留学にかかる費用が高額
- 単位として認められないことが多いので4年での卒業が難しくなる
- 留学の手続きをすべて自分でやる必要がある
さいごに
国内大学から海外大学への留学って、色々あるんですね!
志望大学の留学ページ、しっかりチェックしてみます。
国際系の学部がある大学は、留学プログラムが充実していることが多いです。
ぜひ色々な大学を探してみてください!
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