志望理由書って何を書けばいいんですか!?
総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜で大学受験をするとき、志望理由書の提出は必須です。「何を書けばいいか分からない!」と悩む高校生がたくさんいますが、シンプルにこの3つさえ押さえれば、合格水準の志望理由書を作れます。
- 将来像(To Be)
- 将来像を目指して今までやってきたこと(As Is)
- 将来像を目指して大学で学びたいこと(Gap)
なぜ、この3つなのでしょうか?
具体的に何を書いたらよいのでしょうか?
この記事で詳しく解説します。
2024/11/1 慶応義塾大学 環境情報学部(SFC)に合格者が出ました!
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英語で書く小論文や、アメリカなど海外大学受験の Essay でも OK です。
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なぜ志望理由書が大事なのか?
志望理由書が大事な理由は2つあります。
1つ目は、一次審査の書類審査を突破するため。2つ目は、二次審査の面接を突破するため。
一次審査の書類審査を突破するために、志望理由書が重要!
多くの大学の総合型選抜(AO入試)、学校推薦型選抜、帰国生徒選抜、国際バカロレア(IB)選抜などでは、二次または三次の審査を経て合格が決まります。
■ 総合型選抜や学校推薦型選抜の審査(例)
- 一次審査: 書類審査(志望理由書、調査書など)
- 二次審査: 小論文と面接など
- 三次審査: 共通テスト、もしくは三次審査はなし
書類審査で必ず提出が求められる「調査書」は、高校3年間の学業態度や成績(※)などが書かれています。高3の出願時期になって、いまさら過去の学業態度や成績は変えられません。なので、一次審査の突破に向けて今から努力できるのは志望理由書だけです。ほとんどの大学で調査書と志望理由書の2つが合否を握るので、一次審査を突破するには志望理由書がとても重要です。
※ 成績は「評定平均」という数値で表されます。評定平均とは「高校1年生の1学期から、高校3年生の1学期までの全期間に履修していた全科目の評定(5段階の成績)をすべて合計して、科目数で割ったもの」です(小数点第二位で四捨五入)。
とくに、「二次審査が面接だけ」という大学は、志望理由書の比重がかなり重いです。
慶応義塾大学 SFC、立命館アジア太平洋大学(APU)など、意外とこのような大学は多いので、ぜひ力を入れて志望理由書を書いてみてください。
二次審査の面接を突破するために、志望理由書が重要!
二次審査は小論文と面接という大学が多いです(他に、総合問題、プレゼン、グループディスカッションなどさまざまな試験があり得ます)。
面接官は、受験生の志望理由書を手元に置き、志望理由書に基づいて質問を行います。志望理由書とは関係ない質問ももちろんされますが、それは志望理由書ベースの質問が終わってからです。だから、志望理由書をしっかり作り上げれば余裕をもって面接にのぞめます。
例えば、静岡大学グローバル共創科学部の過去問ウェブサイトから「面接」PDF ファイルを見ると、志望理由書がいかに大事かが分かると思います(※ グローバル共創科学部は、「志望書」と「活動歴報告書」とに分かれていますが、他の大学では志望理由書1枚に両方を書くことが多いです)。
ちなみに、志望理由書を書くことは小論文の練習にもなりますよ!
志望理由書に書くべき3要素、書くべき理由
志望理由書に書くべき3要素を再掲します。
- 将来像(To Be)
- 将来像を目指して今までやってきたこと(As Is)
- 将来像を目指して大学で学びたいこと(Gap)
なぜこの3要素を書くのか? 端的に言えば、「大学側が志望理由書で知りたいのがこの3つだから」です。図で表すと下記のイメージになります。
一つ一つ、解説します。
※ 志望理由書は、大学によっては自己アピール書(国際教養大学など)、自己推薦書(広島大学など)などと呼ばれることもあります。名前がちがっても書くべきことは同じです。
※ アメリカなど海外大学に出願する Essay や、PS (Personal statement), SOP (Statement of Purpose) も、この3要素がいかに大学とマッチしているかが合否を握ります。
第1パラグラフは将来像(To Be)を書く
自分の将来像と、大学が期待する将来像とをマッチさせる
大学側は「自分たちの大学から、将来こういう人材を輩出したい」というイメージを持って、受験生の志望理由書をチェックします。
第1パラグラフ(段落)で自分の将来像を明記すれば、「大学側が期待する将来像にマッチした人材ですよ」と端的に示せます。第1パラグラフで大学側に興味を持ってもらえれば、「合格候補者」という視線で第2パラグラフ以降を読んでもらえますよ。
自分の将来像を具体化するのは非常に難しいことですが、「将来像がマッチングするかどうか」が合否を左右するキーポイントなので、必ず明確にしてください(どうやって自分の将来像を具体化するかは、別の記事で解説する予定です)。
うちは〇〇分野の研究で世界をリードしたい。
〇〇分野に興味を持っている受験生はいるかな?
私は将来、〇〇分野の研究を深めてジャーナルに論文を出したいです!
だから、〇〇分野の研究蓄積があり、師事したい教授陣がいる貴大学での学びを志望します。
将来像(To Be)の例
例えば、立教大学であれば、Rikkyo Global 24 で「自ら考え、行動し、世界と共に生きる、新しいグローバルリーダーの輩出」というメッセージを出しています。
そのため、志望理由書では「〇〇という手段で、世界を××のように変えるグローバル・リーダーになりたい」と明確に将来像を示すのが効果的です。ただ単に、「語学を学びたい」「留学したい」だけでは、立教大学が期待する将来像とマッチしません。
大学側が期待する将来像は何なのか? 大学のウェブサイト、学部の方針、説明会、募集要項などをよく見てリサーチしてみてください。
大学側が期待する将来像の例 | ⇒ | 志望理由書に書く将来像の例 |
---|---|---|
立教大学 経営学部 グローバル・ビジネスリーダーの輩出 | ⇒ | 〇〇分野に就職し、海外現地法人のビジネス拡大に寄与することでグローバル・ビジネスリーダーを目指したい |
立命館アジア太平洋大学(APU) 世界を変える人材の輩出 | ⇒ | アジア地域の〇〇分野で起業して二国間の社会問題を解決したい |
東洋大学 国際学部 グローバル・イノベーション学科 グローバル・スタートアップ人材の輩出 | ⇒ | 〇〇分野のスタートアップ企業に就職、または起業して社会問題を解決したい |
秋田大学 国際資源学部 資源政策の折衝・交渉ができる人材の輩出 | ⇒ | 〇〇地域の持続的な資源開発のために行政関与ができる公務を担いたい |
大阪大学 人間科学部 国際的視野で人間心理を探究できる人材輩出 | ⇒ | 〇〇行動に関わる人間の心理を研究し、教育現場に適用することを目指したい |
※ 上表の例は、大学のウェブサイトや在学生との会話から得た筆者の推定です。事実情報に基づいてはおりますが、実際に大学が期待する将来像は異なる可能性があります。
合格率を上げるには 逆から考える -自分の将来像に大学を合わせる-
上の例は、「大学側が期待する将来像に合わせて志望理由書を書く」パターンです。しかしこれは、合格率を上げづらいパターンでもあります。なぜなら、大学の期待に合わせるために自分がやりたいことをそぎ落とさないといけないので、あなたの魅力が十分伝わらない可能性があるからです。
むしろ逆に考えて、「自分の将来像に合う大学を ”選ぶ”」という発想を持ってみましょう!
下の例を見てください。この例では、「アジア地域で起業したい」という将来像に合わせて大学を選んでいます。
自分の将来像の例 | ⇒ | グローバルリーダーを輩出したい大学の例 |
---|---|---|
「私は将来、アジア地域から日本への留学生を増やすビジネスを起業したい。そのために、アジア地域からの留学生が多く、起業支援にも積極的な貴大学を志望する」 | ⇒ | ・立教大学 ・立命館アジア太平洋大学(APU) ・早稲田大学 ・慶応義塾大学 SFC ・東洋大学 グローバル・イノベーション ・東京大学 ・横浜国立大学 ・神戸大学 ・琉球大学 ・国際教養大学 ・横浜市立大学 ・新潟県立大学 など |
上の例のように、まずは自分の将来像をスタート地点にして幅広く大学を洗い出します。
その後で、現実的な視点で絞り込みます。例えば、「評定平均の要件」「英語資格スコアの要件」「共通テストのスコア要件」などで絞り込むとよいでしょう。
なお、最初から現実的な視点ばかりで考えると、自分に合う大学を見逃してしまう可能性があります。そのため、「まずは幅広く大学を洗い出す ⇒ その後で現実的な視点で絞り込む」という順序がオススメです。
自分の将来像に合う大学を選んだ方が、合格率は上がります!
第2パラグラフは、将来像を目指して今までやってきたこと(As Is)を書く
将来像との整合性を意識する
大学側は「将来像が明確なら、当然、その将来像に近づくような活動をしてきたはず」と考えます。だから、将来像との整合性を意識して、「高校までに力を入れたこと」や「課外活動実績」などのエピソードを第2パラグラフ(段落)に書きましょう。
〇〇分野に興味があるなら、探究授業や課外活動をやってきたはずだよね?
〇〇分野の研究のため、探究授業では××について実験をしました。
また、〇〇分野のコンテストに参加して、受賞はできませんでしたがチームで協力してレポートを作成しました。
※ なお、志望理由書のフォーマットによっては、今までやってきたことは第3パラグラフ以降で書くよう指定されている場合や(国際教養大学など)、活動報告書など別の書類に書く場合があります(立教大学など)。その場合は、指定されている順番や書類に従って書きます。
アピールできるような実績がない場合は? -過程をアピールしたり、実績を作ってしまう-
ただ、実際のところ、「アピールできるような実績なんてない…」と悩む人が多いと思います。
対策は2つあります。
1つ目は、結果ではなく学びの「過程」をアピールすることです。出願要件として結果が必要なら別ですが、ほとんどの大学では結果そのものよりもむしろ「結果を出す過程においてどんな行動をして、何を学んだか?」を重視しています。
例えば、「コンテストで優勝できなかったが、チームで意見をぶつけ合い判断基準を明確にすることで、立場がちがう人との妥協点を探る方法を学んだ」など、活動の過程で何を学んだかをアピールするととても効果的です。
2つ目は、実績がなければ作ってしまえばいいのです。例えば、JMOOC という無料のオンライン大学講座を受講し、課題を提出して合格基準を満たせば修了証がもらえます。JMOOC なら、インターネット環境さえあれば収入格差や地域格差に関わらず実績が作れます。
また、「自分でプロジェクトを作ってしまう」のもよいでしょう。例えば、Instagram で知人に協力してもらい、イベント企画 ⇒ アンケート調査 ⇒ 集客 ⇒ イベント実行 ⇒ 振り返り という一連のプロセスをこなせば、無料でいくらでも実績を作れます(これだけ実行力のある人であれば、欲しがる大学はたくさんあります)。
活動の「過程」を深く分析していけば、大学にアピールできることは実はたくさんありますよ!
将来像を目指して今までやってきたこと(As Is)の例
例えば、滋賀大学データサイエンス学部であれば、データサイエンス学部のウェブオープンキャンパスの情報やパンフレットから「企業や行政などあらゆる分野で、データサイエンスの知見を活かして社会を変える」ことを目指していると分かります。
そのため、志望理由書では、具体的な職業分野(To Be)を明確にした上で、「〇〇分野でデータ分析を活かすための活動をしてきた」ことを第2パラグラフで書くとよいでしょう。ただ単に、「数学をがんばってきた」「統計学に関する講演を聞いた」だけでは、滋賀大学が期待する活動実績とマッチしません。
例えば、総合型選抜の入試情報サイトや募集要項に記載されているように、統計学に関する資格取得や、データ分析を活かすビジネスプランコンテストに参加したことなどを書けるとよいです。必ずしも結果が伴わなくても構いません。「結果を出すために苦労したこと」「心が折れそうになったこと」などネガティブイベントは何があり、そこから何を学んだかのエピソードを書ければ、強力なアピールポイントになります。
大学側が期待する活動実績の例 | ⇒ | 志望理由書に書く活動実績の例 |
---|---|---|
滋賀大学 データサイエンス学部 | ⇒ | 統計学に関する資格取得、オンライン講座(MOOC)受講とレポート、データ分析をテーマとするコンテストの出場 |
お茶の水女子大学 共創工学部 文化情報学科 | ⇒ | 人間行動や心理、言語、歴史などに関するデータ分析の探究活動、プログラミング作品の制作 |
同志社大学 文化情報学部 | ⇒ | 社会問題、文化、人間心理などに関する調査、アンケート、定量分析 |
立命館大学 スポーツ健康科学部 | ⇒ | トレーニングに関する定量分析、スポーツ栄養学やチーム運営に関する探究活動 |
武蔵大学 社会学部 GDS (Global Data Science) | ⇒ | ウェブメディアに関するデータ分析の探究活動、メディアサイトの立ち上げ・運営 |
第3パラグラフは、将来像を目指して大学で学びたいこと(Gap)を書く
将来と現在とのギャップ(= 大学で学びたいこと)を明確にする
将来像(To Be)と、今までやってきたこと(As Is)が明確になれば、将来像になるには足りないこと(Gap)も明確になります。だから、最後の第3パラグラフ(段落)では、このギャップを埋めるために大学で何を学びたいかを書きます。
うちの大学に何を求めるのかな?
将来像〇〇を目指して今まで××活動に取り組んできましたが、△△が足りないことを痛感しました。
だから、〇〇分野の研究蓄積があり、師事したい教授陣がいる貴大学での学びを志望します。
※ なお、志望理由書のフォーマットによっては、大学で学びたいことは第2パラグラフで書くよう指定されている場合や(国際教養大学など)、学びの設計書など別の書類に書く場合があります(京都大学など)。その場合は、指定されている順番や書類に従って書きます。
上のセリフの「だから~」以降の文に注目してください。
この一文は、第1パラグラフで書いた内容と同じです。完全に同一でなくてよいですが、志望理由書の末尾の文は第1パラグラフの結語と一致させると、志望理由に一貫性や論理的整合性を持たせられますよ。
将来像を目指して大学で学びたいこと(Gap)の例
例えば、横浜国立大学 経営学部であれば、大学ウェブサイトなどから、経営学だけでなく国際交流や留学、データサイエンスにも力を入れていることが分かります。
そのため、志望理由書では、「自分は国際交流には積極的に参加したものの、専門知識と分析能力が足りないので貴大学で学びたい」などと第3パラグラフに書くとよいでしょう。ただ単に、「英語が学べるから」「色々な学びができるから」と書くのではなく、何が自分には足りないか、なぜその大学で満たせるのかを明確にします。
自分に足りないところを見せるのはネガティブではありません。
むしろ、その大学で学ぶべき「理由」をアピールするチャンスです!
ただし、ギャップが大きすぎる場合は、その大学とのマッチングが難しくなります。
その場合は志望校を変えると合格率がアップしますよ。
大学で学べることの例 | ⇒ | 志望理由書に書く学びたいことの例 |
---|---|---|
横浜国立大学 経営学部 | ⇒ | ビジネスの専門知識だけでなく、データに基づく意思決定を学びたい |
大分大学 経済学部 IBP (International Business Perspectives) | ⇒ | グローバル・ビジネスの現場に立てるよう、留学して経営を学んだり英語で議論したりしたい |
中央大学 国際経営学部 | ⇒ | 英語でビジネスの専門知識を学び、国内外の企業にインターンシップをしたい |
名古屋商科大学 経営管理課程 | ⇒ | 経営管理課程(学部版 MBA コース)のケースメソッドで、論理的に議論を戦わせる訓練を積みたい |
関西学院大学 商学部 | ⇒ | 公認会計士を目指せるよう会計理論、会計法を学びたい |
まとめ
以上見てきたように、志望理由書に書くのは下記3要素です。
- 将来像(To Be)
- 将来像を目指して今までやってきたこと(As Is)
- 将来像を目指して大学で学びたいこと(Gap)
大学側はこの3要素を見て、受験生とその大学がどれだけマッチしているかを判断します。
なので、志望理由書の文字数内で(おおよそ規定文字数の 80% 以上~100% 以内)、この3要素を3つのパラグラフ(段落)に整理して志望理由書を書いてみてください。
2024/11/1 慶応義塾大学 環境情報学部(SFC)に合格者が出ました!
【PR】 GTE®PREP では、志望理由書や小論文、英語小論文などの大学受験対策を行っています。
「総合型選抜や学校推薦型選抜の出願書類をどう書けばいいか分からない!」
「受験直前だけど小論文対策や面接対策がしたい!」
「一般選抜の小論文だけ見てほしい!(国際教養大学の英語小論文と国語等)」
などで悩んでいる方は、ぜひご検討ください。英語で書く書類や、アメリカなど海外大学受験の Essay でも OK です。